ハチのひみつの世界 6 「ベッコウバチ」
「モンタ博士,上の絵は何というハチですか。ひげの先が丸まっているわ。」 | |
「これはね,ベッコウバチという種類(しゅるい)だよ。この仲間(なかま)は,クモをつかまえるんだ。」 | |
「つまり,クモハンターというわけですね。」 | |
「すごいですね。でも,クモってねばる糸や毒(どく)のあるきばで,昆虫(こんちゅう)をとらえて食べる虫でしょ。そんなクモをつかまえるんだから,ベッコウバチってすごいんですね。」 | |
「ねえ,花ちゃん。クモはね,昆虫とは言えないんだ。クモと昆虫のちがいを表にまとめてみたよ。何かの参考(さんこう)になるといいけどね。」 | |
「うわあー,オー君。すごーい! えらーい!」 | |
「ところで,モンタ博士。ベッコウバチって,どうしてその名前がついたの。」 | |
「そうだね。それはね,羽の色がべっ甲(こう)色をしているからなんだ。」 | |
「べっこうって,何ですか。」 | |
「べっ甲というのはね,ウミガメのタイマイというカメのこうらで作ったもので,くしやめがねなどのふちを作ったりするもんだよ。」 | |
「ところで,モンタ博士,ベッコウバチはどうやってクモをやっつけるのかな。」 | |
「例えばね,キオビベッコウというハチは,コガネグモの巣(す)を見つけると,体当たりして地面に落としてしまうんだ。」 | |
「へえー,すごいね。一度見てみたいな。そして,それから・・・・・・。」 | |
「それから,クモの背中に馬乗りになって,毒針(どくばり)をクモの足のつけ根の胸元(むなもと)にブスリとさすんだよ。」 | |
「麻酔(ますい)して,動けなくするんですね。ジガバチと同じですね。」 | |
「そうだね。幼虫(ようちゅう)の食べ物として長く使用するためで,仮死状態(かしじょうたい)にして,いつも新鮮(しんせん)なえさとすることができるんだ。」 | |
「それから・・・・・・。」 | |
「それから,自分のお気に入りの場所をえらび,ジガバチと同じように土の中に巣を作るんだ。そして,えもののクモを運びこみ,たまごを1こ産みつけるのさ。それでおしまいさ。」 | |
「それで,終わりなんですか。他に気をつけることはないの。」 | |
「そうだね。ベッコウバチはとてもきちょうめんで,おなかをハンマーのようにして何度も地面に打ち付けてかためて,元のように平らにするそうだよ。」 | |
「そうか。穴がどこにあるか分からなくするのは,敵(てき)からのがれるためですね。」 | |
「よく見ないと,どこに巣穴(すあな)があったか分からないくらいだそうだ。」 |
環境のバロメーター
ベッコウバチなどの狩りバチが生きていくためには,そのえさとなるクモなどが豊富に存在することが条件です。また,狩りバチは地面に巣を作ることが多いので,巣を作る環境も豊富になくてはなりません。狩りバチの生息環境には,クモの他にガやチョウの幼虫や,キリギリスの仲間などが生きていることも必要です。狩りバチの種類や個体数が多い場所というのは,生き物が豊富で,多様な環境が存在するということです。みなさんのおうちの近くには,どんな狩りバチがいるでしょうか。調べてみると楽しいでしょう。