NO.254

ハチのひみつの世界4 「狩りバチ」

「きのうは、寄生(きせい)するハチのお話でしたね。」
「今日は、どんなお話をしてくれるのかな。」
「きのうの寄生バチは、体の中にたまごを産(う)みつけたね。でもね、そのうちにたまごを体の中でなく、表面に産みつけるハチがあらわれたんだ。」
「でも、そんなことができるのかな。」
「花ちゃん、どうしてそう思うの。」
「だって、動いている虫の表面に産みつけたら、せっかくのたまごがポトリと落ちてしまうわ。」
「そうだよ。それに、その虫にたまごがふみつぶされてしまうかもしれないよ。」
「そしたら、たまごがだめになってしまうわ。」
「そうだね。そこで、動いている虫にたまごを産むために、産卵管(さんらんかん)の付属腺(ふぞくせん)というものを、毒腺(どくせん)というものに変(か)えたんだ。」
「毒腺? なんですか。もう少し分かりやすくお話ししてください。」
「つまりね、虫が動き回らないように、また、虫の動きをまひさせるために毒液(どくえき)を出すようにしたのさ。ようするに麻酔(ますい)だね。」
「つまり、歯医者さんに行って、 虫歯がひどくなると、歯の神経(しんけい)をとるときに『ちくり』と注射(ちゅうしゃ)するけど、それと同じなの。」
「そのとおりだね、うまいたとえだね。神経がしびれて、歯のいたみがなくなると同じなのさ。」
「ハチにちくりとさされて、虫がぐにゃりとなってしまうのね。」
「そうすれば、たまごは落っこちないし、ふまれたりしないわけだ。」
「そのちくりとさされた虫は死んでしまったのですか。」
「死んでしまったのではないんだよ。殺(ころ)してしまっては、そのうちくさってしまうだろう。そして、カビがはえたり、えさにはならなくなるだろう。」
「つまり、体に毒針(どくばり)をさして麻酔して動けなくさせるんだ。」
「そうだね。それまでのハチはたまごを産むための『道具』だった産卵管が、相手をやっつける『武器(ぶき)』になったというわけなんだ。そして、そういう虫のことを『狩(か)りバチ』というんだ。」
「モンタ博士! どんな狩りバチがいるんですか。」
「そうだね。狩りバチというのはね、それはそれはいろいろな種類(しゅるい)がいてね、狩りや生活の様子、えさなどもいろいろなんだ。とてもバラエティーにとんでいて、それはそれはおもしろくめちゃくちゃわくわくドキドキの世界だよ。」
「モンタ博士! いろいろな狩りバチのお話をして!」
「それでは、もっともふつうに見られるジガバチのお話をあしたからしようね。」
「うわあー、ヤッター! あしたが楽しみだ。」
●いろいろな狩りバチ

自然の奥深さ

 ハチは獲物の複雑な神経系組織をよく理解して、考えながら針を刺しているのでしょうか。そんなに賢いのでしょうか。どうやら、いろいろな実験をやっていくと、そうでもないということが最近分かってきたようです。ハチの行動は全て本能の命令、本能の与える霊感のままのようです。昆虫は自分のしていることを自分の頭で少しも理解していないということが分かってきました。つまり、本能に突き動かされて、どうしてもそれをしないではいられないようです。では、その本能の命令はどこからくるのでしょうか。生物学的にはいろいろな学者がそれなりの説を述べています。例えば、親の素質が子どもに伝えられたという遺伝説。強い者、また環境に適応した者だけが生き残れるという自然淘汰説などいろいろありますが、どれも本能の不思議な働きを十分に説明しているとはまだまだ言えないようです。人間の頭で考えたり、説明しきれない奥深く崇高で神秘的なものが昆虫や植物・自然の世界にはまだまだたくさんあるのではないでしょうか。


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