NO.247

アオダイショウとマムシの会話

「やあ! よい子のみなさん、こんにちは。おいらはアオダイショウだ。おっと、とつぜんにおどろかしてごめんな。ヘビがきらいな人は、むりしないでいいよ。」
「そうだね、ヘビがきらいな人もいるもんね。それにしても、アオダイショウ君。あんまりにらみつけちゃいけないよ。何だかこわい顔をしているよ。」
「そうなんだよ。この前ね、お天気がよくて木の上でいねむりをしていだんだ。そしたらね、いたずら好きのモンタ博士がおいらの頭をぼうでちょっかいを出したんだ。はじめはあまり相手にはしていなかったんだけどさ、あまりにもしつこいので、おいらの方からにらみつけちゃったというわけさ。」
「そういうことなのか。モンタ博士も大人のくせに、子どもみたいなことしてこまっちゃうね。ふだんはこんなに三角の顔をしていないもんね。」
「そうなんだよ。人間様は、いつも温かい体をしているだろう。ところがどっこい。おいらたちヘビは、変温動物(へんおんどうぶつ)と言ってな、まわりの温度によって冬眠(とうみん)したり、動きだしたりするんだよ。」
「そうか、いい気持ちで日なたぼっこしていたのに、モンタ博士にじゃまされちまったというわけだね。」
「まあそうだね。ところで、おいらはどんなにこわい顔しても、人間様は、あまりおどろいてくれないみたいなんだ。その点、マムシ君はすごい毒(どく)を持っているんだろう。」
「まあね、日本には40種類(しゅるい)のヘビがいると言われているけど、毒のあるのは、ハブとマムシとヤマカガシくらいなんだよ。」
「まあ、あんまりおいらたちのことをきらわないでほしいよな。」
「そうだよ。ヘビはみんなからきらわれているようだが、とてもおとなしい生き物なんだ。音や振動(しんどう)にも敏感(びんかん)で人の足音だけですぐにすがたをかくしてしまうんだよ。」
「ほんとうにそうだよね。ところで、上の写真はモンタ博士にとられてしまったのかい。」
「そうなんだよ。ある日、森の中を『てくてく』じゃなかった、『するする』と歩いていたらね、とつぜん、チョウを取る網(あみ)でつかまえられてしまったのさ。おいらもやきがまわったもんさ。」
「すぐにつかまっちゃったのかい。」
「そこはおいらだって、マムシだぜ。しっぽをふってガラガラと音をたてて(マムシはクサリヘビ科でしっぽをふり音をたてる。他はナミヘビ科でそんなことはしない)おどかしたけど、モンタ博士はちっともおどろかないし、にやにやしているんだもんな。まいっちゃうよ。」
「モンタ博士はこわくなかったのかねえ。」
「その後、網の中に入れたおいらを見て、めちゃくちゃにこにこしているんだ。もうまいっちゃうよ。おまけに写真までパチパチとられてしまってね。なさけねえよ。とぐろをまいて飛びかかって、ガブリっとかんでやろうかと思ったけど、モンタ博士が天国に行っちゃうと、『てくてく』を書く人がいなくなるだろう。そんなんで、おいら、じっとがまんしたんだ。その後、だれもいないところで、またおいらを山にもどしてくれたけど、おいら、マムシ酒にされちゃうかと、ひやひやだったぜ。」
「そういうことだったのかい。まあ、ヘビについて、いやがる人もいるかもしれないけど、おいらたちがいることで、自然のバランスをとっているとも言うんだよ。まあ、あまりむずかしいお話はやめて・・・・・・。なあ! マムシ君。学校の校庭でも『てくてく』じゃなかった『するする』とするかね。」
「そうだね。おいらもひまだから、つきあうとするか・・・・・・。」

変温動物のヘビの動き

 ある時、校庭を1匹のシマヘビがするするとはっていました。早速つかまえて、近くにいた3年生に見せてあげると、「見せて見せて」ととても喜んでいました。気持ち悪いから、怖いからとそばにも寄らずにいたのでは、生き物の本当の姿は分かりません。と言っても、モンタ博士のようにマムシを捕まえてしまうのは、どうかと思いますが・・・・・・。ヘビは温度が低いと動きが鈍くなります。ある初冬の11月頃、大きなシマヘビが田んぼの畦でじっと固まっていました。あまりの寒さにその動きの何とゆったりだったことか。今、思い出しても楽しい光景でした。このように、温度と動物の動きの変化を調べることは、とても楽しく興味深いものです。いろいろな生き物でやってみるとおもしろいですよ。


戻る    【てくてく自然散歩シリーズ】 トップへ戻る
copyrights