ガマはソーセージのような形?
「ねえねえ、花ちゃん。体育館のそばにおもしろいものがあったよ。」 | |
「え! おもしろいもの?」 | |
「うん、そうなんだ。ソーセージみたいな感じかな。いや、赤や黄色や水色だたら、アイスキャンデーかな?」 | |
「え! ソーセージ? アイスキャンデー? だれかが落としたのかな?」 | |
「そうじゃないんだ。ソーセージがなっているんだ。」 | |
「え? なっている? どういうこと?」 | |
「うーん。説明するのがたいへんだ。いっしょに見に来てよ。」 | |
ということで、二人で体育館まで行ったとさ・・・・・・。 | |
「ほら、見てごらん。ソーセージみたいだろう。きれいな色がついていれば、アイスキャンデーに見えるだろう。」 | |
「あ! これは植物よ。名前なんて言ったかな・・・・・・。思い出せないわ。」 | |
とそこに、モンタ博士が通りかかり・・・・・・。 | |
「ほほー。二人で植物観察をしているのかい。感心、感心。」 | |
「モンタ博士! このユニークな形の植物、なんという名前ですか。」 | |
「ほほー。これはね、『ガマ』(蒲)だよ。ガマの穂(ほ)というんだ。」 | |
「え! ガマガエルがどうかしたの。」 | |
「ガマガエルではありません。ガマです。」 | |
「ガマの穂先(ほさき)を『がまほこ』というんだよ。」 | |
「え! 『かまぼこ』? おいら大好(す)きだよ。おしょう油をつけて食べるとおいしいやつだろう。」 | |
「ちがうわよ。」 | |
「花ちゃん。それがね、ちがうわけでもないんだよ。今のかまぼこというのは、板にもられているだろう。ところが、昔のかまぼこは、ちくわみたいに棒(ぼう)のまわりにもられていたんだ。つまり、かまぼこの語源(ごげん)だね。だから、漢字では『蒲鉾』なんだ。」 | |
「かまぼこ・・・・・・、ウナギのかば焼(や)き・・・・・・、なんだかおなかがすいてくるね。」 | |
「そうだろう。ウナギのかば焼きだって、このガマに関係(かんけい)あるんだよ。」 | |
「え! ほんとうなんですか。」 | |
「今ではうなぎを開いて焼くけど、昔は筒(つつ)切りにして、そのまま棒にさして焼いたんだよ。その形もまたガマの穂にそっくりだろう。だから、かば焼きのかばは漢字で『蒲』となるだろう。」 | |
「ふーん、なるほどね。それにしてもおもしろい形をしているね。ちょっとさわってみるかな・・・・・・。あれあれ? ふわふわしていて気持ちいいよ。」 | |
「そうだね。このふわふわを綿(わた)の代わりに使って、座(ざ)ぶとんなどにいれたそうなんだ。だから、ふとんも「蒲」の字を使って『蒲団』と書くのさ。」 | |
※写真は体育館横の溝(みぞ)に生えていたものです。ガマは本来は湿地(しっち)に生育(せいいく)する植物です。 |