NO.244

ガマはソーセージのような形?

「ねえねえ、花ちゃん。体育館のそばにおもしろいものがあったよ。」
「え! おもしろいもの?」
「うん、そうなんだ。ソーセージみたいな感じかな。いや、赤や黄色や水色だたら、アイスキャンデーかな?」
「え! ソーセージ? アイスキャンデー? だれかが落としたのかな?」
「そうじゃないんだ。ソーセージがなっているんだ。」
「え? なっている? どういうこと?」
「うーん。説明するのがたいへんだ。いっしょに見に来てよ。」
ということで、二人で体育館まで行ったとさ・・・・・・。
「ほら、見てごらん。ソーセージみたいだろう。きれいな色がついていれば、アイスキャンデーに見えるだろう。」
「あ! これは植物よ。名前なんて言ったかな・・・・・・。思い出せないわ。」
とそこに、モンタ博士が通りかかり・・・・・・。
「ほほー。二人で植物観察をしているのかい。感心、感心。」
「モンタ博士! このユニークな形の植物、なんという名前ですか。」
「ほほー。これはね、『ガマ』(蒲)だよ。ガマの穂(ほ)というんだ。」
「え! ガマガエルがどうかしたの。」
「ガマガエルではありません。ガマです。」
「ガマの穂先(ほさき)を『がまほこ』というんだよ。」
「え! 『かまぼこ』? おいら大好(す)きだよ。おしょう油をつけて食べるとおいしいやつだろう。」
「ちがうわよ。」
「花ちゃん。それがね、ちがうわけでもないんだよ。今のかまぼこというのは、板にもられているだろう。ところが、昔のかまぼこは、ちくわみたいに棒(ぼう)のまわりにもられていたんだ。つまり、かまぼこの語源(ごげん)だね。だから、漢字では『蒲鉾』なんだ。」
「かまぼこ・・・・・・、ウナギのかば焼(や)き・・・・・・、なんだかおなかがすいてくるね。」
「そうだろう。ウナギのかば焼きだって、このガマに関係(かんけい)あるんだよ。」
「え! ほんとうなんですか。」
「今ではうなぎを開いて焼くけど、昔は筒(つつ)切りにして、そのまま棒にさして焼いたんだよ。その形もまたガマの穂にそっくりだろう。だから、かば焼きのかばは漢字で『蒲』となるだろう。」
「ふーん、なるほどね。それにしてもおもしろい形をしているね。ちょっとさわってみるかな・・・・・・。あれあれ? ふわふわしていて気持ちいいよ。」
「そうだね。このふわふわを綿(わた)の代わりに使って、座(ざ)ぶとんなどにいれたそうなんだ。だから、ふとんも「蒲」の字を使って『蒲団』と書くのさ。」
※写真は体育館横の溝(みぞ)に生えていたものです。ガマは本来は湿地(しっち)に生育(せいいく)する植物です。

 


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