NO.219

花を見て,花の名前を考えよう!

「あれあれ,花ちゃん。またまたお花のスケッチですね。それにしても花ちゃんは,スケッチが上手(じょうず)だね。おいら感心しちゃうな。ところで,その植物は何ていうの? 何という名前の植物なの?」
「オー君。おほめにあずかり,どうもありがとうございます! これはね,この植物の名前はね,キキョウ科のね……。」
「花ちゃん! ちょっと,ちょっと,ちょっとちょっと! お花の名前を言うのをちょっと待って!」
「え! どうしてですか。どうしたんですか,モンタ博士!」
「あのさ。いつも花ちゃんがオー君に植物の名前を教えてあげてるよね。でも,今日は,すぐに名前を言わないでよ。あのさ,オー君に植物のいろいろな特徴(とくちょう)を見つけてもらって,それで,オー君にお花の名前を考えてもらったらどうかな。」
「なーるほど。それは,楽しいですね。」
「そうだろう,そうだろう。名前を聞いて,『はい,そうですか』で終わっちゃったら,つまらないよ。それよりも,自分で植物の特徴(とくちょう)を発見すること。目で見たり,さわったり,葉っぱのにおいをかいだりしながら,五感(ごかん)を使って自分なりの名前を考えることのほうが,ずっと植物と仲良しになれると思うよ。ねえねえ,そうしようよ。花ちゃん!」
「そうですね。ほんとうにそうですね。そうしましょう。」
「さて,今日は,オー君がどんな名前を考えるか。どれだけ観察力があるか楽しみだね。さあ! オー君,このお花に自分ですきな名前をつけてごらん。」
「よーし。こりゃ,楽しくなってきたぞ。まかせとけ! ふーむ。花は小さくて,うすいむらさき色で,ベルの形をしているぞ。」
「なるほど,なるほど。よく観察できているぞ。」
「それで,名前は……。そうだ。『小さむらさきベル花』なんてどうかな。」
「なかなかいい名前ですね。さすが,オー君ね。」
「ちょいと待てよ。そうだ。小さいはスモールだ。むらさきはバイオレットだよな。それに花はフラワーだから……。『スモールバイオレットフラワー』なんてどうかな。」
「なるほど,なるほど,こりゃおもしろい名前だぞ。いいぞ! オー君。」
「ステキね。もっとほかの名前が考えられないかしら……。」
「ちょいと待てよ。あれ……。葉っぱをちぎると白い汁(しる)が出たぞ。」
「なるほど,それは,いいところに気がついたね。」
「白い汁が出るから,『ミルク草』なんてどう。」
「『ミルク草』ね。楽しい名前ね。」
「白くてミルクみたいだから……。あ! そうだ。『おっぱい草』なんていいかも?」

ツリガネニンジンのつぶやき

 高さが1mほどになり,明るいススキ草原や川原の土手などで普通に見られる植物なんだ。恩方(おんがた)で見たければ,陣馬山の頂上に行けば,まだあちこちに咲いているよ。名前は,花が釣り鐘形であることと,根が太くてコウライニンジン(高麗人参)に似ているからなんだ。通称としてトトキと呼ばれる山菜で,「山でうまいはオケラにトトキ」と言われるように,若芽をおひたしや天ぷらなどにもするんだ。なお,白い汁が出るのは,キキョウ科の特徴でもあるんだな。


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