NO.210

「ちりめんモンスター」って知っている?

「見て見て、フッタ博士! おみそ汁(しる)のアサリの中にこんなカニがいたよ!」
「あっ、私も見たことあるわ。知らずに貝を食べると、口の中がジャリジャリしちゃうの。」
「よく気づいたね。これは二枚貝(にまいがい)のからの中にすむ『カクレガニ』だよ。『ピンノ』ともよぶんだ。小さいけれどこれが成体(せいたい−大人)で、貝のえさや栄養(えいよう)をもらい『寄生(きせい)』をしながら生きている。今は『パラサイト』のほうが分かるかな。貝がらで守られているから、目は退化(たいか)しているし、こうらもぶよぶよしてやわらかい。」
「どうやって貝の中に入るんですか? はさみでこじ開けるには弱そうだし……。」
「貝がねている間にこっそりすき間から入るとか?」
「ピンノの生活は分からないことだらけ。おそらく子ガニの時に貝の入水管(にゅうすいかん)から入り、種類(しゅるい)により決まった貝にすみつくんじゃないかな。カキにつくピンノもいる。」
「じゃあ、一つの貝に何びきもいることもあるのかしら?」
「それもナゾ。同時にオス・メス2ひき見つかることもあるらしいけど、1ぴきしか育たないようだね。オスはメスのいる貝をさがして歩くという説(せつ)もある。」
「オスはかくれがから出てさがすわけ? 危険(きけん)だなぁ。男はつらいよ……。」
「またまた、それを言う。カニがいたら貝はめいわくじゃないのかしら?」
「そうだね。貝はカニに栄養を取られてやせてしまうこともある。それでも追い出されずにすみ続けるひけつがあるんだろうね。」
「カニの子どもはプランクトンなんですか? プランクトンってミジンコやアメーバみたいな、けんびきょうで見るような小さい生き物でしょ。」
「昆虫(こんちゅう)と同じように、脱皮(だっぴ)しながらカニも変態(へんたい)していくんだ。たまごからゾエア→メガロパという、ちがう形をした子ども時代をすごす。エビも変(か)わっていく。真水に住むサワガニやザリガニはたまごの中でそうした時期をすごして、いきなり親のミニチュアで生まれてくる。ピンノは貝の中でたまごをうみ、出水管(しゅっすいかん)から海に出してもらう。ちょっとこれを見てごらん。」
「ちりめんじゃこですね。ごはんにのせて食べるの大すき!」
「ちりめんじゃこ【写真左】やしらすはイワシなどの子どもだね。よくさがすといろいろな海の生き物が見つかるよ。タコの子もいるよ【上】。とげがあるのが何かのカニのゾエア【中】、ややカニらしくなったのがメガロパ【中下】。エビかアミの仲間【右】もいたよ。海の流れに乗って遠くまで旅をするんだね。【目もりは1mm】」
「栄養士さんがこういうのを集めて『ちりめんモンスター』って呼んでいたよ。フッタ博士! 昆虫とエビ・カニは親せきどうしなんでしょう?」
「節足動物(せっそくどうぶつ)という大きいグループだね。ムカデやクモ、ミジンコもそうなんだ。昆虫は地球上のありとあらゆる所でくらしているけれど、なぜか海の中にはいないんだ。エビやカニの天下なんだよ。それから、光の全くとどかない深〜い海の底(そこ)、火山がふき出す養分(ようぶん)でくらしているカニもいるんだよ。自然の世界にはふしぎなことがいっぱいだね。」

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