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「あれあれ……、これは何ですか。」 |
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「あれあれ……、これはひょっとして、いろいろな『ガ』のまゆですね。」 |
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「ピンポーン。そのとおりさ。まゆだね。」 |
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「まゆといったら、カイコのまゆくらいしか見たことないわ。」 |
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「まあ、カイコも正しくはカイコガという名前のガなんだよ。」 |
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「へえー、そうなんだ。やっぱりオー君はくわしいわね。ところで、まゆといってもいろいろあるんですね。大きさや形などもちがいがあるんですね。」 |
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「そのとおりさ。えーっと、まず1は、ウスタビガのまゆだね。」 |
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「へえー、そうなの。ちょっと黄緑色していて、とてもきれいだわ。」 |
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「そうだろう、そうだろう。続いて、2は、クワゴといって、カイコの原種(げんしゅ−品種改良する前のもともとの種)と言われているんだ。野生のカイコとよばれているけど、まゆはカイコより小さくて絹糸(きぬいと)をとるほど実用的(じつようてき)ではないようだね。」 |
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「へえー。そうなの。」 |
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「次に、3はヤママユガのまゆだね。とても大きいだろう。これは、テンサン(天蚕)とも言って、絹よりも高価(こうか−ねだんが高い)といわれているんだよ。またの名前を《山蚕》と書いて、『ヤマコ』というんだ。これは、《飼蚕》と書いて『カイコ』とよぶのに対して使うらしいよ。」 |
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「へえー、そうなの。それじゃ、残った4は……? 何かしら。」 |
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「これはね、クスサンというガのものなんだ。網(あみ)のようになっていて、たわらみたいだろう。それで、スカシダワラとも言われているんだ。」 |
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「へえー、そうなの。オー君はいろいろと知っているね。すごいわね。」 |
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「『知るは楽しみなり』と言ってね。いろいろと知識(ちしき)をもつことはすばらしいことなんだよ。」 |
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「ところで、オー君。どうしてクスサンのまゆは網目(あみめ)になっているのかな。考えたことあるかな。」 |
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「そういえば、そうですね。でも、おいら考えたことないです。」 |
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「知識は、とても必要(ひつよう)なことだけど、それ以上(いじょう)に、いろいろと自分で想像(そうぞう)することは、もっともっと大切なことだと思うよ。」 |
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「はい。分かりました。でも、どうして、網目なのかな。上の1・2・3は、どれも紙のような糸があるような感じですね。」 |
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「自然の世界には、偶然(ぐうぜん)なんてないんだ。それなりに、みんな色や形など、理由やわけがあるんだよ。」 |
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「うーん。そうか……。あ! ひょっとして、クスサンというガは、夏の暑くて湿度(しつど)のある季節(きせつ)に羽化(うか)するんじゃないかな。だって、網目のようになっていれば、いくら暑くても風通しもいいし、中の幼虫(ようちゅう)だって助かるんじゃないかな。」 |
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「なーるほど。本当かどうか分からないけど、おもしろい考えだね。きちんと、その理由を知っている人は、ぜひ教えてください。」 |