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「あれあれ? 木の上に何かいるよ。黒い鳥みたいだけど……。」 |
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「そうね。私もはじめはカラスかと思ったけど……。」 |
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「カラスじゃないの……。そう言えば,少し頭やくちばしの形がちがうようだね。」 |
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「カラスとは飛び方がまったくちがうのよ。」 |
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「どんな飛び方だったの。」 |
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「あのね,首を前に出すようなかっこうで飛ぶのよ。」 |
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「ふーん。そうなんだ。ところで,何という名前の鳥なの?」 |
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「この鳥はね,カワウというのよ。体は黒くて,先の曲がった長いくちばしと長い首の鳥ね。」 |
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「ふーん,なるほど。それから,尾(お)っぽも長いようだね。他にカワウには,どんな特徴(とくちょう)があるの。」 |
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「体を立てて止まるし,グワッグワッとか,グルグルとも鳴くわ。」 |
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「ふーん。そうなんだ。」 |
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「それから,このカワウというのは,お魚をよく食べる鳥で,川の魚を取るのがとても上手(じょうず)なのよ。」 |
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「ふーん。そうなんだ。」 |
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「魚を取るときには,1分以上ももぐっていられるんだって。」 |
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「え! 1分も!」 |
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「そうよ。それに10mくらいの深さまでもぐれるそうなのよ。」 |
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「ふーん,そうなんだ……。あ! 思い出した。この魚って,ひょっとしてひょっとして,『うかい』?」 |
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「ピンポーン。そのとおり。オー君は物知りね。うかいというのは,漢字で書くと『鵜飼い』となるの。カワウを飼いならして,アユなどの魚を取らせることなのよ。岐阜県(ぎふけん)の長良川(ながらがわ)の鵜飼いと言えば,とても有名なのよ。」 |
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「でも,そんなにお魚を取るのがうまかったら,カワウにとってはいいけど,そこの魚にしてみれば,いつも食べられてしまって,たいへんなことにならないかな。」 |
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「そうなの。少なすぎてもこまるけど,ふえすぎてもこまるでしょ。それで,カワウは,狩猟鳥(しゅりょうちょう)として,野鳥だけど,取ってもいい鳥ということになってしまったのよ。狩猟鳥は,日本に29種もいるのよ。」 |
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「ふーん。そうなんだ。」 |
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「ところで,さっきからオー君は何をしているの。エンピツを持って,何かかいているようね。ねえねえ,見せてよ。お願い。」 |
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「どうだい。おもしろい形をしているなあと思ったので,シルエットにしてみたのさ。」 |
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「うわあー。オー君。とても上手(じょうず)ね。こうして,シルエットにしてみると,鳥の形がほんとうによく分かるわね。」 |