NO.197

カワウは魚取りの名人

「あれあれ? 木の上に何かいるよ。黒い鳥みたいだけど……。」
「そうね。私もはじめはカラスかと思ったけど……。」
「カラスじゃないの……。そう言えば,少し頭やくちばしの形がちがうようだね。」
「カラスとは飛び方がまったくちがうのよ。」
「どんな飛び方だったの。」
「あのね,首を前に出すようなかっこうで飛ぶのよ。」
「ふーん。そうなんだ。ところで,何という名前の鳥なの?」
「この鳥はね,カワウというのよ。体は黒くて,先の曲がった長いくちばしと長い首の鳥ね。」
「ふーん,なるほど。それから,尾(お)っぽも長いようだね。他にカワウには,どんな特徴(とくちょう)があるの。」
「体を立てて止まるし,グワッグワッとか,グルグルとも鳴くわ。」
「ふーん。そうなんだ。」
「それから,このカワウというのは,お魚をよく食べる鳥で,川の魚を取るのがとても上手(じょうず)なのよ。」
「ふーん。そうなんだ。」
「魚を取るときには,1分以上ももぐっていられるんだって。」
「え! 1分も!」
「そうよ。それに10mくらいの深さまでもぐれるそうなのよ。」
「ふーん,そうなんだ……。あ! 思い出した。この魚って,ひょっとしてひょっとして,『うかい』?」
「ピンポーン。そのとおり。オー君は物知りね。うかいというのは,漢字で書くと『鵜飼い』となるの。カワウを飼いならして,アユなどの魚を取らせることなのよ。岐阜県(ぎふけん)の長良川(ながらがわ)の鵜飼いと言えば,とても有名なのよ。」
「でも,そんなにお魚を取るのがうまかったら,カワウにとってはいいけど,そこの魚にしてみれば,いつも食べられてしまって,たいへんなことにならないかな。」
「そうなの。少なすぎてもこまるけど,ふえすぎてもこまるでしょ。それで,カワウは,狩猟鳥(しゅりょうちょう)として,野鳥だけど,取ってもいい鳥ということになってしまったのよ。狩猟鳥は,日本に29種もいるのよ。」
「ふーん。そうなんだ。」
「ところで,さっきからオー君は何をしているの。エンピツを持って,何かかいているようね。ねえねえ,見せてよ。お願い。」
「どうだい。おもしろい形をしているなあと思ったので,シルエットにしてみたのさ。」
「うわあー。オー君。とても上手(じょうず)ね。こうして,シルエットにしてみると,鳥の形がほんとうによく分かるわね。」

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