NO.164

フィトンチッドのお話−その2

「フィトンチッドのお話の続きだけど、けっきょく、植物は、そのフィトンチッドを人間のために出しているということですね。」
「いやいや、そうじゃないんだ。そのフィトンチッドというのは、人間のためではないんだよ。」
「え! それじゃ、だれのためですか。」
「それはね、植物が自分の体を守るために出しているものさ。」
「え! 植物が自分の体を守るって? どういうことですか。」
「植物はだれから体を守ろうとしているのかしら。」
「その前に、植物は動物とちがって、おそってくる敵(てき)に対しては立ち向かうこともできないし、にげることもできないだろう。」
「そうですね。動けないからにげられないですね。」
「だから、植物は自分の体の中から、そのフィトンチッドというものを出しているのさ。」
「植物をおそう悪いやつというのは、いったいだれなんだろうな。正義の味方・オー君がやっつけてやるぜ。」
「まあまあ、オー君。そんなに興奮(こうふん)しなくてもいいわよ。」
「その悪いやつとは、細菌(さいきん)とよばれるバイキンみたいなものとか、カビなどだね。植物はいつもそういう悪いやつにねらわれているのさ。」
「その悪いやつが入って来ないために、植物はフィトンチッドを自分の体から出しているということですね。」
「そのとおりさ。『フィト』とは植物という意味で、『チッド』とは殺(ころ)すという意味なんだ。フィトンチッドは悪いバイキンなどを殺すということなんだ。」
「そのフィトンチッドは、人間には悪くないの。害(がい)にはならないの。」
「フィトンチッドは、人間にはもちろん害はないから安心していいよ。むしろ、ぎゃくだね。フィトンチッドのかおりは主にテルペン系の物質(ぶっしつ)というものなんだけど、むずかしくなるからやめるけどね。」
「テルペン? むずかしいお話はごめんだよ。分かりやすく言ってちょうだい。」
「テルペンという物質には、ようするにバイキンをやっつける性質があるんだ。植物の葉っぱには、そのテルペンというものがふくまれているというわけさ。植物の葉っぱでいろいろな食べ物をつつんだりするのを知ってるかな。」
「葉っぱで食べ物をつつむ? うーん。そうだ! かしわもちはかしわの葉っぱでつつんであるぞ。それから、さくらもちやささだんごもあるぞ。」
「ほおばめしとか、ほおばみそとかもそうだ。それから、おすし屋さんのガラスのケースにスギやヒノキの葉っぱを入れておくのも、何か関係(かんけい)あるの。」
「そのとおりだよ。かざりで入れてあるのではなく、お魚が悪くならないためなんだよ。昔から、人間は植物の葉っぱのひみつを利用してきたんだね。コンビニのお弁当(べんとう)などに緑のビニールみたいのが入っているのも、そのなごりだね。」
「なーるほど。これからも人間と森は仲良くしていきたいですね。」

森林欲のすすめ・・・森の効用その2

 ある学者が森林浴の効果を医学的な側面から研究したそうである。まず、軽井沢のカラマツ林の中を20分ほど散策した後、暗室に入って目の瞳孔の縮小・拡大など、光反射を調べたそうである。また、この実験と同じ気象条件や同じ明るさで、大学の実験室で測定したそうである。すると、森の中での測定の方が反射の変化量が大きかったのである。このことは、森の中の方が瞳孔の活動、いうなれば大脳の活動レベルがより高いということを示しているそうである。つまり、森林や木々の香りは、神経系の活動を活発にさせて、精神の集中にも役立つということが言えるのである。


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