NO.162

リュウノウギクの咲く季節

「上の絵は,何というお花ですか。」
「これはね,リュウノウギクだよ。」
「え! 何々?? ……リュウノウギク……? 聞いたことのない名前だな……。」
「ひょっとして,野菊(のぎく)の仲間ですか。」
「そうだよ。野菊だ。野菊というのはね,栽培(さいばい)しているキクでなくて,野生のキクなんだ。よくにた種類(しゅるい)があって,日本全国,地域(ちいき)によってさまざまなものがあるんだよ。」
「野菊といえば,ユウガギク,ノコンギク,ヨメナなど,いろいろとありますね。」
「ふーん。野菊っていろいろあるんだ。それで,こいつはリュウノウギクというのか……。でも,どうしてこの名前がついたの。」
「それでは,二人とも手を出してごらん。葉をとって,そっと自分の鼻でにおいをかいでごらん。」
「においをかいで観察(かんさつ)するんですね。いつもの五感を使って植物を観察するんですね。」
「クンクン? クンクン?」
「クンクン? クンクン?」
「あら? ほんのりといいかおりがしますね。」
「ふーむ。いいかおり ?おいらは,どうもよく分からないなあー。」
「この野菊の名前は,そのかおりからつけられているんだ。リュウノウギクと言ってね,漢字で書くと竜脳菊(りゅうのうぎく)。中国に竜脳という香料(こうりょう)があって,それによくにたにおいだというんだ。」
「いいかおりかな? 何ともいえないなあ。あ! そうだ。このにおいは,あの薬のにおいだぞ。」
「え! 何という薬なの。」
「えーっと。何と言ったかな。『りゅう○○さん』とかいったな……。」
「なるほどね。『りゅう○○さん(龍○○散)』か……。ところで,このリュウノウギクや,『てくてく自然散歩』にあった『センブリ』などが見られるようになると,野山の植物もそろそろ終わりということだね。」
「そうですね。そして,リンドウのお花がさいて……,木々の葉っぱが色づいて,そのうち,かれ葉まう季節(きせつ)となるんですね。うーん。『深まりゆく秋』っていうのもとてもすてきですね。」

キク科植物

 キク科の植物は,双子葉植物の中で最も進化したもので,世界に23000種,日本には350種が自生しています。帰化植物も100種以上あります。種類が多いということは,さまざまな環境に適応してきているということであり,変異しやすい性質を利用して,いろいろな園芸品種が作り出されています。野菜では,レタス,シュンギク,ゴボウがあり,油をとるためのヒマワリや薬になるヨモギやジョチュウギクなど,人間生活に欠かせないものも多くあります。なお,観賞用に栽培されるキクは,奈良時代に渡来したそうで,その後,江戸時代に改良され多くの品種が作り出されました。


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