NO.148

シロスジカミキリと不思議なあな

「何だ、こりゃ? 1つ、2つ、3つ、4つ、5つ……丸くて黒いのがあるぞ。」
「さて、何でしょうね……。木はコナラのようですが……。」
「そうだね、コナラの木だね。何だか分かるかな。ヒントはね、木の下の根元を見てごらん。」
「木の根元? あれあれ……、木のかすがいっぱいだ。」
「こういうのを『かんなくず』とかいうのね。でも、どうして木のかすが……?」
「だれかが、木のかすを落としたというわけか……。あ! ひょっとして、花ちゃん? そんなわけないよな。」
「オー君。まじめにやってください。」
「木に丸いあな……、木の根元に木のかす……? 分かった。カミキリムシだ。」
「そのとおりだ。丸くて黒いのは、シロスジカミキリが産卵(さんらん)する時にかじったあとだよ。根元につもっているのは、幼虫が幹(みき)を食べたかすや、羽化(うか)した成虫(せいちゅう)が幹からぬけ出る時の木くずなんだ。」
「そうか、交尾(こうび)が終わったメスが、木の皮をかじって丸いあなを開けて産卵するんだ。」
「メスは横に移動(いどう)しながら次々に産卵するので、丸くて黒いものが横にならぶのね。」
「そうだね。ところで、あのね、みんながカブトムシをさがすのはどんなところなの。」
「そりゃ、もちろん。樹液(じゅえき)の出ているところさ。」
「その樹液の出るところとカミキリムシとはとても関係が深いんだよ。」
「それって、どういうことですか。」
「そもそも、コナラという木だって、カミキリムシなんかに、大事な自分の幹を傷(きず)つけられたくないだろう。」
「でも、カミキリムシがたまごを産(う)んだり、成虫が出てきたりして傷つけられちゃったということですね。」
「そこで、木は自分の体を守るために、樹液という『薬』を自分で出して自分の体を守っているということなんだよ。」

シロスジカミキリのつぶやき

 メスが卵を産むのは、木の真ん中ではなくて、木の皮の近く、形成層(けいせいそう)というけど、つまり師管や道管など、栄養や水分を運ぶ管(くだ)がある場所なんだ。ここは、木にとって成長していくところでとても大切なところなのさ。それで、おれたちに傷つけられると、穴が開いたり、ささくれだったようになったり、こぶのようになったりするんだ。まあ、けがをしたあとにかさぶたができるみたいなものかな。木に穴が開いていたのを見たこともあるだろう。この穴から出る樹液こそ、カミキリムシの産卵痕(さんらんこん)や脱出孔(だっしゅつこう)の傷を守るための自家製の血止め薬なんだよ。


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