NO.143

ジョロウグモ君、登場

「秋になるとクモの巣(す)が目立ちますね。」
「このクモは体が黄色のしましまで毒々(どくどく)しいなぁ。赤いもようもあるし。」
「木の枝(えだ)や軒先(のきさき)など目立つところに大きな網(あみ)をはっているのはジョロウグモだね。『女郎(じょろう)』ではなく、身分の高い女官(じょかん)『上臈(じょうろう)』が語源(ごげん−名前のいわれ・理由など)らしい。」
「ぬけがらやごみがついてるよ。」
「そう。ジョロウグモの網はえさをとる大きなものと、食べかすなどをくっつけておくごみすて場がセットになっているんだね。横から見るとよく分かるよ。」
「こんな大きな巣をどうやって作るのかな。」
「オニグモのように毎日はりかえる種類(しゅるい)もいるけれど、ジョロウグモはちがうみたいだね。時間がたつと黄金に光って見えると言うよ。よく見ると横糸が数本ずつ、音楽の五線紙のようにならべてあるでしょう。」
「あ! そういえばすき間がところどころ空いていて、そんな感じ。」
「クモの糸って横糸がねばねばしているんだよね。」
「うん。足場にするたて糸はねばねばがなくて、クモはそこを歩くから自分はくっつかないんだ。クモは昆虫(こんちゅう)にくらべてなんとなく原始的(げんしてき)な感じがするけれど、網をはるようになったのは昆虫が空を飛べるように進化(しんか)した後なんだよ。」
「小さいクモがいっしょにいるけど、子どもかな?」
「それはジョロウグモのオス。大きいのはメスなんだ。どちらも大人のクモ、成虫(せいちゅう)じゃなくて成体(せいたい)というんだよ。」
「オス・メスでずいぶん体の大きさがちがうんだね!」
「なぜ同じ網にいるのかしら。」
「オスはじっと交接(こうせつ−交尾のこと)のチャンスを待っているんだ。クモは目(単眼−たんがん)が8こあるけれど、あまり見えないんだ。糸に伝わるふるえを足で感じ取り、糸でグルグルまきにしてかみつく。消化液(しょうかえき)を口から注入して虫の体内をとかしてすうんだよ。もし、うっかり動いたら、メスにえさとまちがえられて食べられてしまうかもしれない。」
「……男はつらいよ。」
「クモの足って8本でしょう? このオスは6本足だけど、どうしたのかしら。」
「メスに近づく順番(じゅんばん)を決めるために、オスどうしでケンカすることがあるんだ。その時にけがをするみたいだよ。」
「……やっぱり男はつらいよ。」
「どうやってオスがメスの巣を見つけるのか不思議(ふしぎ)だと思わないかい?」
「本当だ。でたらめに歩き回ってほかの種のクモの巣にまよいこんだりしないのかな?」
「なかにはほかの種類の巣に『いそうろう』するクモや、クモを食べるクモもいるんだ。網をはって待ちぶせするほかに、糸を投げわにして虫をつかまえたり、歩き回ったりするクモもいる。」
「クモって気味悪いって思っていたけど、おもしろそうね。」
「興味(きょうみ)をもってくれてありがとう。クモは漢字で『蜘蛛』と書く。この字をばらばらにしてならべかえると『未知ノ虫虫』になるんだ。まだまだ分からないことがたくさんあるんだよ。研究してみたらどうかな。」

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