NO.133

ホタルの光・・・

「あ! ホタルだわ。ホタルのえさのカワニナの写真もありますね。」
「そろそろ,あちこちでとびはじめているよ。おうちの近くや学校のうらにもたくさんホタルが見られる季節(きせつ)になりましたね。」
「花ちゃん,ホタルというのは,日本に40種類(しゅるい)くらいいるんだよ。でもね,よく光るのは,3分の1くらいで,その他のホタルは光らないんだ。」
「ふーん,すごい。さすがはオー君ね,パチパチパチ。それじゃ,聞くけど,私は音楽がとっても好きなんだけど,『蛍(ほたる)の光』という歌があるでしょ。」
  と,そこへモンタ博士がふらりと現(あらわ)れて,とつぜん,大きな声で歌ったとさ……
「♪ほたるのひかり,まどのゆき。書(ふみ)よむつき日,かさねつつ。♪」
「うわー,出たー,おんちだ。やめて! くるしいよ! 助けて!」
「そんなにおんちかな。自分ではけっこううまいと思っているのにな……。」
「ところで,モンタ博士。ホタルの光で,本当に本が読めるんですか。」
「その前に,ホタルの光は,何のために光るんだったかな。」
「えーと,それは,たしか,『ホタルが光るのは,オスとメスがよび合って子孫(しそん)を残すためです』とある本に書いてあったわ。」
「そのとおりだね。つまり,オスとメスとのラブコールということだね。ようするに恋(こい)の信号(しんごう)・ラブサインということだね。」
「ところでさ,さっきの本が読めるかどうかという問題はどうなったの。」
「そうだったね。モンタ博士はね,ホタルについて6〜7冊(さつ)くらいの本を読んだんだよ。それをまとめて,今日はモンタ博士の自由研究だ。」
「ウワ―。楽しみだわ。お話ししてください。」
「あのね,ある人がね,ホタルを2000びき集めてみたら,新聞が読めたという報告(ほうこく)があるんだよ。」
「えー! 2000びき! 集めるのに苦労(くろう)しただろうな。」
「日本じゃなくて,世界中にはいろいろなホタルがいるんでしょ。」
「うん。中国にいるタイワンマドボタルというホタルは,光も強いので20ぴきくらいで新聞が読めるというから,『蛍の光』の歌もウソじゃないね。」
「もっともっと光るホタルはいないのかな。」
「それがいるんだな。すごいやつがいるんだよ。」
「すごいやつって,どんなホタルなの。」
「ホタルの仲間(なかま)ではないけど,中南米にいるヒカリコメツキというのは,大きさが4センチもあってね,1ぴきでも文字が読めるそうなんだよ。」

ある先生のホタルについての研究から(ゲンジボタルのラブストーリー)

小川の側でゲンジボタルのオスが光りながら飛んでいました。メスはめったに飛ばず,近くの枝に止まって発光を繰り返しています。やがて,近くを飛んでいた1匹のオスがスピードを落とし,方向を変えて,メスから15センチくらい離れた葉に止まりました。そして,不規則にボーっと強く点滅する光を出しながら歩いてメスに近づきました。距離が10センチくらいになるとオスはここでぴたりと止まり,急にピカーピカーと4〜6発,時間にして15秒くらい,いわゆるフラッシュ発光を繰り返し,10秒ほど休んで,また5発ほど光りました。すると,2回目のオスのフラッシュ発光の時,これにこたえるようにメスもピカッと1回フラッシュ発光しました。それを見たとたん,オスはフラッシュ発光をやめて,真っすぐ猛ダッシュでメスに近づき交尾しました。しかし,メスがフラッシュ発光でこたえなければ,オスは何度でもフラッシュ発光を繰り返し,決して側に近づこうとはしません。


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