NO.132

アザミ

「あれ! これはアザミの花かな。」
「そうよ。これは,ノアザミというのよ。」
「アザミ……,アザミって,『てくてく自然散歩』にものっていたよね。」
「オー君,よくおぼえていてくれたね。モンタ博士はうれしいよ。」
「えーっと。アザミ,アザミ……,どっかに写真があったよな……。あ! これだ。No.89にあるよ。『キク科の花いろいろ』について,とてもくわしく書いてあったね。」
「よくおぼえていたわね。本当だ。コスモスのお花といっしょにのっているわ……。コスモス? あれ……,コスモスって,秋にさくお花よね。今はまだ春だから,さいていないわ……?」
「このNo.89のアザミはノハラアザミというものだけど,下の絵は,ノアザミというもので,ちがう種類(しゅるい)なのさ。」
「アザミって,1種類じゃないんですね。」
「そうだよ。アザミってね,日本全国に50種類くらいあるそうなんだ。」
「へえー,そんなにたくさんあるんですか。」
「でもね,春から夏の今の季節にさくアザミは,ノアザミしかないからまちがいないよ。それに,ノアザミは花の下の部分(総苞《そうほう》という)がねばねばなんだ。さわってみるとよく分かるよ。」
「ふーん,そうなんだ。ところで,アザミの葉っぱって,なんだかとげとげがいっぱいあって,とてもいたそうだぞ。」
「そうね,とげとげがあるから,さわったらいたそうね。でも,どうして,とげとげになっているのかしら。」
「ほほー,なるほど,そのとおり。よいところに気がついたね。さあ,なぜだろう,どうしてだろう。考えてみようよ。」
「とげとげだと,いたくて,動物たちからもいやがられるわ。」
「分かった,なぞはとけたぞ。動物たちから葉っぱを食べられないように,アザミの葉っぱには,とげとげがあるんだ。」

アザミの不思議実験にチャレンジしよう!

アザミの花の頭の部分(これを植物用語で頭花〔とうか〕という)には,チョウやハナアブなどがよく蜜(みつ)をすいに訪れているが,虫に代わって指先でそっと優しくこすってみよう。すると,どうなるだろうか。じっとして20〜30秒ほど,アザミの花をながめていよう。すると,どうなるだろう。な,な,なんと……,いくつもの花の先から,まるでえんとつからけむりが出るように,白い花粉が出てくるはずである。これは,接触刺激によって,花糸(かし―おしべのついているぼうのようなもの)がゆっくりと弓のように曲がるからである。それで,えんとつは下に引っぱられるのである。えんとつ内の花粉は,めしべというぼうによって外に押し出されるというわけだ。まあ,こんなわけで,アザミの花をじいっと見つめてみよう。
なお,日本のアザミは50種ほどあり,区別が難しいといわれている。しかし,ありがたいことに,関東にはアズマヤマアザミ,東北にはナンブアザミ,中国にはビッチュウアザミ,九州にはツクシアザミなど,それぞれの地域によって,独特の種類があるので,見当がつきやすいとのことです。


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