NO.130

オケラ


1年生
「♪ぼくらはみんな 生きている 生きているから 歌うんだ ぼくらはみんな 生きている 生きているから 悲しいんだ 手のひらを太陽に すかしてみれば まっかにながれる ぼくの血しお みみずだって おけらだって あめんぼだって みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ♪」
「いい歌だなあ……。」
「そうですね。この歌を作ったのは,『アンパンマン』をかいた『やなせたかし』さんだったよな。」
「ミミズとアメンボは分かるけど……。オケラってなんですか。」
「オケラって,たしか……,虫だよね……。」
「モンタ博士! オケラをつかまえたよ。」
「オケラ? どれどれ,見せてごらん。ほほー。生きたのははじめて見たよ。」
「おいらは,オケラさ。正しくは,ケラというぞ。コオロギなどの仲間(なかま)だ。『おけらの七つ芸(げい)』とは,よくいう言葉なんだ。」
「オケラくん。はじめまして……。お友達になりましょう。」
「オケラくん,きみと仲良くしたいな。もっといろいろ教えてよ。」
「おいらは,あなほり名人なんだ。前足を見てごらん。すごいだろう。」
「ふーん。このすごい足であなをほるんですね。」
「うん。まあ,そうだな。ほかに,鳴くこともできるし,とべるし,泳げるし,それに子育てもできるんだ。でも,得意(とくい)なのは,あなほりだけど,あとはちゅうとはんぱなんだ。それで,そういう人を『おけらの七つ芸』というのさ。」
「オケラくん,どうして『オケラ』という名前になったんだい。」
「なかなかいい質問(しつもん)だな。それは,おいらを前から見ると,ばんざいをしているように見えて,一文無し(いちもんなし)でお手上げしているようなんだ。それで,オケラになったというわけなんだ。」
「へえー! そうなんだ。」
「でもよ。このごろよ。人間様たちが,土とふれる機会(きかい)が少なくなってよ。おいらを見つけてくれることもなくなったよな。」
「ふーん。それでそれで……。」
「それでよ。おいらを見かけてもよ,何の虫か分かんない人がふえているって言うじゃんか……,なんだかさみしくなっちゃうよな。」
「あのお……,お話し中ごめんなさい。オケラって,虫の名前だけど,植物にもオケラというのがあったように思うんですが……。」
「そうだね。キク科の植物なんだ。もうかれてしまったけど,去年とったものがドライフラワーみたいになっているから下の写真を見てね。」

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