NO.122

グロテスク?いやいや、マムシにそっくり、マムシグサ

「ねえねえ、見て見て! オー君。かわったお花でしょ。」
「ぎょ! なんだ、こりゃ? これ、お花なの?」
「そうよ、お花なんですよ。ちょっとかわった形をしているけどね。」
「おいら、はじめて見たぜ。」
「そんなことないわよ。春の雑木林(ぞうきばやし)に入れば、あちこちでさいているわよ。」
「それにしても、へんなお花だな。なんだかヘビが頭を上げた感じだよ。」
「さすがはオー君。よいところに気がついたね。ところで、二人は、どんなヘビを知っているかな。」
「えーっと、ヤマカガシ、アオダイショウ。それから、シマヘビなんていうのもよく見るヘビだね。」
「それと、もう一種類(しゅるい)いるでしょ。毒(どく)を持っているヘビよ。」
「毒のあるヘビ? ……あ! 分かった。ハブだ!」
「おしい! もう少しよ。まだいるでしょ。モンタ博士が去年つかまえたって言ってたでしょ。」
「あ! 分かった。マムシだ。」
「そうです、そのとおり! このお花の名前はね、マムシグサというのよ。」
「え! マムシグサ? ヘビの名前がそのまま植物の名前になっているの?」
「そうなのよ。ね! モンタ博士。」
「花のようなものが、ヘビの頭みたいだろう。それに、茎(くき)を見てごらん。」
「茎? ジロジロジローリ。あ! まだらもようがあるぞ。」
「分かったね。茎のまだらもようを、マムシというヘビに見立てて名前をつけたというわけさ。」

マムシグサのつぶやき

ヘビの鎌首(かまくび)と見えるのは花序を包む葉が変形したもので、仏炎苞(ぶつれんぽう)というものなんだ。この仏炎苞が白くてきれいに見えるものが、尾瀬などでも有名で、人気抜群のミズバショウというわけさ。つまり、ミズバショウもおいらも同じ仲間で、サトイモ科の植物ということだ。ところが、おいらは、その形といい、色といいあまり好まれないようなんだな。なかにはグロテスクだなんていうやつもいるし、まいっちゃうよな。ちなみにコンニャクもおいらと同じ仲間さ。ところで、おいらは、雄の株と雌の株に分かれているんだ。もちろん、雌株に実ができるんだけど、雄株の花粉を運ぶのはキノコバエなどで、花には蜜も何もないのさ。独特なにおいで呼ぶんだな。その時、世にも恐ろしい計画を秘めているんだ。まず、キノコバエが仏炎苞の中に入ると、体のあちこちに花粉をつける。しかし、その中は、つるつるで上がれず、おまけに「ネズミ返し」のようなものまで用意してあるので上に上がれない。でも、雄株に落ち込んだキノコバエはまだいい方さ。なぜかというと、雄株の仏炎苞の合わせ目には小さなすき間があり、そこから脱出できるんだ。でも、雌株に入ると・


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