NO.116

フキノトウのお話(山菜レシピ)

「あれ? これは,ひょっとして,フキノトウ?」
「ピンポーン。そのとおりだね。フキノトウだ。」
「でも,フキノトウって,もっと地面の近くにあるんじゃないの。それに,こんなにのっぽじゃないよ。」
「もともと地面近くにあったフキノトウが,だんだんあたたかくなって,どんどん背(せ)をのばしたというわけよ。」
「なーるほど。そういうことか。分かったよ。ところで,フキノトウとフキって,どんな関係(かんけい)なのかな。」
「春早く,葉っぱよりも先に出る花の茎(くき)をフキノトウとよぶんだよ。その後にフキの若葉(わかば)が出てくるのさ。フキっていうのは,地下茎(ちかけい)をのばしてふえて広がっていくから,かたまって生えていることが多いのさ。」
「フキって,たしか食べられるんですよね。」
「もちろんさ。フキノトウの天ぷらはおいしいよ。それから……。」
「食べ物のお話なら,おいらにまかせておくれよ。まず,フキは,何科の植物かというとね,キク科なんだ。キク科というのは食べられるものが多いんだ。まず,フキの茎のすじをとるんだね。それから,竹の子やあぶらあげといっしょににたりするといいんだよ。それから,フキを細かくきざんで味噌(みそ)と合わせて食べるフキ味噌は最高だね。あたたかいご飯にぴったし。あ!それから,しょうゆと砂糖(さとう)でこい味(あじ)つけしたつくだにの『きゃらぶき』もうまいね。おいら,なんだかおなかがへってきちゃった。」
「パチパチパチ。すごーい。オー君はくわしいんですね。感心しちゃった。」
「そうだね。野や山には,いろいろと食べられるものがいっぱいあるね。それじゃ,みんなで春の山菜(さんさい)をさがしに行こう!」

フキの語源は拭(ふ)く

フキの語源についていろいろと調べていると,ある文献に目がとまった。語源は拭くということ。拭くとは,ぬぐうという意味でもある。昔,トイレットペーパーのなかった時代,人はどのようにして始末したのだろうか。時代や土地によってさまざまであるが,昔は,つるつるの石をトイレに置いていたそうだ。使用前は右,使用後は左とか。使用後は川で洗い,リサイクル。またある所では,やや太めの縄をぶら下げていたそうだ。何度も使用していると,つやつやになって使い心地がよかったと文献にもある。そして,最後に登場するのがフキ。フキの葉っぱをたくさん取ってきては,トイレで陰干しし,何枚も積み重ねておき,それを使用したそうだ。そのようにして拭いていたので,「拭き」が「フキ」になったと……。そう言えば,フキの学名は,ペタシテス。「ぺたん」とやったからかなあと思う今日このごろ。


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