NO.114

メグスリノキ

「ねえ、オー君。これは、メグスリノキというのよ。」
「え! 目薬(めぐすり)? おいら、目はばっちりいいんだ。目薬なんていらないよ。」
「ちがうわよ。メグスリノキよ。」
「え! ぎょ! そんな名前の木があるの。」
「これは、モンタ博士といっしょ近くのお寺に行ってもらってきたのよ。」
「ふーん。ふつうの山にはないの。」
「野山をいろいろとさがしているけど、あまりないそうなんだ。もう少し、北の地方には多く見られるようだね。」
「それにしても、へんな名前の木ですね。」
「あのね、このメグスリノキは、本当に目の薬になるのよ。」
「メグスリノキの小枝や幹(みき)を煎(せん)じて飲むそうなんだ。くわしくは、インターネットで調べるといいよ。もともと、植物の研究は、薬の研究から始まったといわれているんだ。」
「それで、薬という漢字は、草かんむりがついているんですね。」
「そして、体が楽になって、楽しくなるということですね。おいら、このお話は何度も何度も聞いたもんね。」(草かんむり+楽=薬)
「そのとおりだね。それからね、このメグスリノキの種子(しゅし=たね)をよーく見てごらん。何か気がつかないかな。」
「よーく見るんですね。じろじろ……。あれ! これ、でっかいね。」
「そうだろう。このメグスリノキの種子は、カエデの仲間で一番大きいのさ。」
「そうよ。ふつうのイロハモミジやイタヤカエデなどは、2cmくらいなの。でも、このメグスリノキは、な、な、なんと4cm以上もあるのよ。大きいものでは、5cm近くのものもあったわ。」
「へえー、こりゃすごい! おもしろいや。ジャンボな種子なら、クルクルと回るすがただってよーく見えるよね。さあ、花ちゃん、どこか高い所から、飛ばして遊ぼう。」

メグスリノキのつぶやき

昔むかし、ある山のある所に、私は生えていました。それを、ある人が私を見つけ、木の皮をはいだのでしょうか。そして、それをお茶にして飲んだのでしょうか。すると、目がよくなったり、体の調子がよくなったりしたのでしょうね。そして、こりゃ、すごい木があるぞということで、あちこちでメグスリノキとよぶようになったのでしょうか。昔、人々はいろいろな物を求めて、あちこちの野山を歩き回ったのでしょう。そうやって、いろいろな植物や薬の研究が進み、文化や文明が発展したのでしょう。ところで、私はカエデ科の植物ですが、カエデの語源になっているような、葉はカエル手ではありません。3枚の葉っぱになっています。私のお友達で、3枚のカエデでミツデカエデという仲間もいますので、お忘れなく。また、真ん丸い葉っぱのカエデやふつうの葉っぱの形のものまでいるんですよ。いろいろバラエティーに富んでいるんです。なお、私は、日本にしかないカエデです。


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