NO.102

オオムラサキの越冬幼虫(えっとうようちゅう)

「あ! これは、オオムラサキの幼虫(ようちゅう)ですね。」
「ピンポーン。そのとおり。さすがは虫博士のオー君。よく知ってるね。」
「でも、自分で見つけたことはないんだ。本で見ただけなんだ。」
「そうなのか。この近くには、オオムラサキがかなりたくさんいるんだよ。」
「そうか。ここにはエノキの木がいっぱいあるからだね。」
「エノキの葉っぱを食べるチョウは、ほかにゴマダラチョウもいるけど、ここは、自然度(しぜんど)が高いので、ゴマダラチョウよりもオオムラサキのほうがたくさんいるらしいんだよ。」
「あのー。お話し中でもうしわけないんですが、写真のどこに幼虫がいるの。」
「よーく見てごらん。4ひきの幼虫がいるよ。」
「え! どこどこ? 分かんなーい。」
「そうだね。矢じるしをすれば分かりやすいかな。」
「あ! いたいた。分かりました。あれ、幼虫に角(つの)みたいのものもついていますね。何だろうなー。」
「さて、何だろうね。モンタ博士にも分からないんだよ。もし、この『てくてく自然散歩』をごらんになって、くわしく知っている人は、ぜひ連絡(れんらく)ください。よろしくお願いします。」
「ところで、その角だけど、いくつあるかな、花ちゃん。」
「えーと、4つあるわ。それがどうかしたの。」
「オオムラサキによくにたゴマダラチョウというチョウは、その角が3つなんだよ。それが、見分け方のポイントだね。」
「へえー、そうなんだ。でも、まったくどうして、こんなに目立たない色をしている。」
「さあ、どうしてだろうね。それを考えることがとても大切なことなんだ。」
「ふーん。そうですね……。今は冬で、かれ葉の季節……。」
「えーと、『木は森にかくせ』という言葉がヒントかな。」
「木……、森……。そうか、かれ葉の季節には、かれた葉っぱと同じ茶色ならば、鳥などの敵(てき)に見つからないからですね。」
「そのとおり。それでも、100ぴきの幼虫から成虫(せいちゅう)になれるのは少しなんだ。」

オオムラサキ越冬幼虫調査から

昨年の冬、お休みの日にお友達とオオムラサキの越冬幼虫を調べたところ、5か所を歩き、オオムラサキ285匹、ゴマダラチョウ32匹を見つけることができました。もちろん、元にもどしておきました。もう少し市街地に近い場所では、ゴマダラチョウばかりだそうです。より自然度の高い場所には、オオムラサキがまだまだたくさんいるようです。いつまでもオオムラサキが生き続ける自然豊かな場所をみんなで大切にしたいですね。


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