花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ


 サザンカ(あまい蜜をなめてみよう)
お茶の花と同じ仲間の植物が今いっぱい咲いていると言ったけど,それはなんですか。」
それはね,お茶と同じ常緑樹でね。いつも緑色の葉っぱをつけているんだよ。それで,秋から冬にかけて咲く花と言えば……,そうだ!。歌にもあるよ。」
常緑樹というのは葉っぱがあついから,……ツバキかしら?」
おしいね。とっても近いよ。図鑑で調べると,そのとなり。歌にもあるよ。」
えっ!歌にあるって,ぼくの知っている歌かな。」
ヒントはね,かきね。それから,たきび……だよ。」
分かった。サザンカだわ。♪かきねのかきねのまがりかど,たきびだたきびだ落ち葉たき♪っていう歌,私歌ったことがあるわ。」
その通りだね。サザンカだよ。サザンカはツバキ科でね,お茶やツバキと同じ常緑樹なんだ。今あちこちのかきねにいっぱいさいているよ。」
サザンカって,他の植物が終わってから,寒さの中でさくでしょう。なんか,とってもがんばりやさんっていう感じですね。」
でもね,本当は寒いのより温かい方がすきな植物なんだよ。サザンカはよくかきねや切り花に使うけどね,自然に生えているのは沖縄や九州・四国など温かい所にある植物なんだよ。」
そうなんだ。自然に山の中にあるのか。それじゃ,かきねみたいじゃないんだね。もっと大きい木なのかな。」
それじゃ,今からクイズだよ。自然に生えているサザンカは,どのくらいの木でしょうか。3m,5m,10mのうち,どれでしょうか。」
かきねに使うのは1〜2mくらいでしょう。だから,5mくらいあるの。」
ブー。正解は10mです。モンタ博士が九州の屋久島というところで見たサザンカは,木の太さが30cmくらいあって,高さは10mをこしていたよ。」
すげえな。そんなサザンカがあるのか。ぼくも見たいな。」
ところでさ,サザンカの花は知ってるよね。」
もちろんですよ。いつも見ているもん。」
いつも見てるということと,よく見てるとは違うんだ。」
それはどういうことかな。」
サザンカ(ツバキ科)
花はふつうは5枚だけど,園芸用に八重(やえ)のものもあるんだ。それから食べたことはあるかな。」
食べても平気なんですか。」
五感を使う観察なら,ぼくにまかせとけだ。ムニャムニャ。あまい!」
そうだろう。あまいだろう。5枚の花びらの外側に先っぽが少し緑色で,もとの方が白くなっているのがあるだろう。それががくというもので2枚ついている。そのがくのつけねあたりからみつをたくさん出しているのさ。」
私も食べてみよう。あっ!本当にあまいわ。かんげき!!!」
みんながそんなに喜ぶんだもの。ほかの生き物だって喜ばないかな。」
あっ!分かった。冬になって食料のなくなった鳥にはごちそうなんだ。」
ピンポーン。その通り。しばらくあそこにさいているサザンカを遠くから観察しよう。そのうち,いろいろな鳥たちがおなかをへらしてやってくるよ。」
あ!メジロがみつをすいにきているわ。かんげき!!!」

サザンカのつぶやき
 にぎやかに彩っていた色づいた葉もいつしか散り果て,寂しくなった庭先に,他の花にずっと遅れてようやく咲き出すのよ。寒さをつつむ薄日のかげでも色鮮やかに冴えて咲く私ってとっても美しいでしょう。美しく綺麗なだけではないのよ,初冬の夜明け方に氷霜をうっすらとかぶりつつ開く私には,清らかさの中にも,寒さに必死に耐えている厳しさも持っているのよ。
 ところで,ツバキ油というのをご存知?ツバキは私の従姉妹みたいなものだけど,油で有名でしょう。ところが,ツバキの油よりも私のサザンカ油というのは,もっと高級なのよ。不乾性でべとつかず,酸化物も生じないの。刀剣や調理用刃物のさび止めなどとして使われているのよ。

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