2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(668)カタクリの花の解剖報告(わたし、失敗しないので)
「うわあー。またもや、ドクターXではなく、ドクターモンタ先生の登場ですね。」
「わたし、失敗しないので⋯⋯。」
「今日の患者さんは、だれですか。」
「それはカタクリです。わたし、失敗しないので⋯⋯。」
「あのきれいなお花のカタクリですか。」
「そうです。手術の前にカタクリについて、くわしく調べました。写真で説明しますので、よく見てください。」
「(1)の写真は、花を咲かせたカタクリです。根のように見えるのは球根です。これが本物の「カタクリ粉」のもとです。花を咲かせるまでに10年近くかかるそうで、少しずつ球根が大きくなります。」
「右の写真(2)は何ですか。」
「写真(2)の左はカタクリの球根の5~6年目、右は3~4年目くらいのようすです。カタクリなどのスプリングエフェメラルという植物は、3~4月のほんの数週間だけ葉をつけて光合成を行い、根に栄養をためるのです。」
「この前、お話ししてくれた、スプリングエフェメラル、つまり『はかない命』・『春の妖精』ですね。」
「カタクリは花を咲かせるまで、とても長い時間がかかる、貴重な植物なんです。」
「でも、モンタ博士じゃなくて、ドクターモンタ先生! カタクリをぬいてきてもだいじょうぶなのですか。」
「わたしの友達の庭から少しもらってきたものなので、だいじょうぶです。では、花のようすを観察しましょう。」
「(1)の写真では花がよく分かりませんが⋯⋯。」
「(3)の写真を用意しました。また、花をたてに切ったものが(4)の写真です。何か気がついたことはありませんか。」
「きれいなお花だなと思っていましたが、このようにして見るのは初めてです。」
「貴重な植物ですが、研究のためにくわしく見ることは大切です。花のようすが分かることにより、さらに植物を大切にしようと思うものです。」
「(4)の写真の花の下の所が光っているように見えますが、花の蜜ですか。」
「ピンポーン。そのとおりです。花はいつも下向きに咲いているけど、蜜は落ちてこないから不思議です。それから、チョウやハナバチが逆さにぶら下がりながら、花の中に体を入れて蜜を吸うんです。」
「虫たちが蜜を吸いながら、花粉をほかの花に運ぶんですね。」
「そのとおり。花と虫とは仲良しなんです。それでは、次に花をよく見てみましょう。(3)の写真の(5)の場所はどうなっていますか。」
「あっ! アルファベットのWのような模様がありますね。」
「これは、蜜はこの奥にあるよ、というサインだと言われているのです。」
「すごいですね。カタクリって、色がきれいだと思ったけど、見えないところまでおしゃれに気を使っているんですね。」
「そうですね。それでは、次に下の(6)と(7)の写真を見てください。何か分かりますか。気がついたことがあれば、言ってください。」
「(6)は左にあるのがめしべで、右に6本あるのがおしべですね。」
「そのとおりだね。では、(7)は何だと思うかな。」
「花びらを1枚1枚はずしたものですね。全部で6枚ありますね。あれ? おしべも花びらも6枚で同じですね。」
「そうです。よいところに気がつきました。カタクリはユリの仲間で、ユリやアヤメなどと同じように、3という数が共通のポイントなんです。」
「あっ! 思い出しました。カキは実の形も4角形で4数性で、リンゴは5角形で5数性になっているんですね。それから、ユリは3数性ですね。つまり、カタクリは3の倍の数である6が基本になっていて、3数性と言うのですね。」
「よく覚えていてくれました。モンタ博士は、涙が出るくらいにうれしいです。花びらの数や実の形、それぞれ意味があるんです。こうやって自然を見ていくことが大切なんです。数に注意して見ていくと、自然のきまりや規則性というものが分かっていくんです。それが科学というものなんです。」
「自然のきまりとか、規則性とか、科学っておもしろいですね。」
「本当だね。でも、いろいろなことが分かってとても楽しかったです。」
「それで、いいんです。外から見ているだけでは、真実は見えません。時には、このように調べることも大切なことです。」
「写真に撮ったカタクリなどは、その後、どうするのですか。」
「カタクリはだいじょうぶです。球根がしっかりとしていることが確認できたので、また、お庭に植えておきました。来年の春を楽しみにしていましょう」
カタクリを食べてみよう!
カタクリの
花の
美しさはとても
有名であり、
現在では、あちこちに「カタクリの
里」と
称するものが
存在し、
多くの
人々が
訪れ、
春の
観光名所になっている。多くの
人は、その花を
愛でるが、
食べたことのある人は
少ないようだ。そこで、モンタ
博士は
友人宅のカタクリを
少し
分けてもらい、食べてみることにした。
山菜としておひたしにする
前に
生の
状態で食べてみてビックリしたのは、その
甘さであった。
次に、
写真(8)のように
水で
葉を
洗い(
左はハナナ=
花菜)、その
後茹でてみると、写真(9)のように
少なくなってしまって、ちょっと
残念。しかし、
山菜はたくさん
食べるのではなく、ほんのちょっと、
味わうのが
基本の
食べ
方。その
後、いつものように、おかかとおしょうゆで食べてみると、
甘さはそのまま
残り
美味最高。
花を
愛でるのもよいが、まだ
未経験の
方には、ぜひ
数枚でも
生やおひたしで
召し
上がってほしい。