2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(8)植物の名前・分類・特性について
(664)エンドウマメ3姉妹(カラス・カスマ・スズメ)
「♪ くしにささって だんご だんご
3つならんで だんご だんご♪
♪ しょうゆぬられて だんご だんご
だんご3きょうだい♪ 」
「どうしたのですか。歌なんか歌って、ごきげんですね。」
「でも、ちょっと『おんち』ですね。」
「まあまあ、ゆるしてほしいね。気分がいいんだから。」
「どうしてそんなに気分がよくて、うれしいのですか。」
「上の写真を見てほしいね。左からカラスノエンドウ・カスマグサ・スズメノエンドウだよ。どこにでもふつうに見られるマメ科(ソラマメ属)の3姉妹が集合できたんだ。」
「えっ! 3兄弟ではなく、3姉妹なんですか。」
「そうだよ。どの花もピンク色で、形もよくて、きれいで美人ぞろいだろ。だから、むさ苦しい3兄弟ではなく、かわいい3姉妹なんだよ。」
「そういうことなら、納得です。」
「それで、写真もバッチリ撮れてね、だから、うれしくて『だんご3兄弟』の歌を口ずさんでいるというわけさ。」
「そうなんですね。でも、ぼくはカラスノエンドウというのは、聞いたことがあるけど、他の2つはよく分からないなあ。」
「そうだろう。それでね、モンタ博士はね、『だんご3兄弟』ではなくて、『野原のえんどう豆3姉妹の歌』を作りながら、その特徴を知らせたいと考えているんだよ。どうかな。」
(※カラスノエンドウなどは、正しくはソラマメ属であり、エンドウ属ではないが、この場合、野原のえんどう豆3姉妹とした)。
「それは楽しそうですし、おもしろそうですね。それで、できたんですか。」
「うーん。まあ、途中までだけど、聞いてくれるかな。」
「はい。モンタ博士は『おんち』だけど、がまんして聞きますね。」
「それでは、第1番は、
♪ のはらにあるよ えんどう えんどう♪
♪ 3つならんで えんどう えんどう♪
♪ おなじような花だね えんどう えんどう♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
♪ いちばん上は 長女 長女♪
♪ いちばん下は 三女 三女♪
♪ あいだにはさまれ 次女 次女♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
続けて、第2番は、
♪ 花が大きな 長女 長女♪
♪ 花が小さい 三女 三女♪
♪ あいだの大きさ 次女 次女♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
♪ 葉っぱも大きな 長女 長女♪
♪ 葉っぱも小さい 三女 三女♪
♪ あいだの大きさ 次女 次女♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
さらに、第3番は、
♪ 実の色が黒いので からすからす♪
♪ 実が小さいので すずめすずめ♪
♪ からすとすずめのあいだなので かすまかすま♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
♪ 種の数がとてもおおいよ からすからす♪
♪ 実に毛があるよ すずめすずめ♪
♪ 実に4つの種があるよ かすまかすま♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪
おまけに、第4番は、
♪ こんど生まれてくるときも♪
♪ ねがいはそろって野原のあちこちに♪
♪ できればみんなに見てほしい♪
♪ 立ち止まってゆっくり かんさつ かんさつ♪
♪ みなさんよろしく これからも♪
♪ 野原のえんどうまめ 3姉妹♪」
「うわあー。いいですね。おもしろいです。楽しいです。」
「カラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウの3姉妹の特徴とかが、とてもよく分かりました。そうだ! 花ちゃん! モンタ博士の作った新曲・名曲の『野原のえんどう豆3姉妹』の歌を大声で歌おう!」
「とてもいい歌ね、さあ! みなさんもごいっしょに歌いましょう。」
「よし! よし! これでヒットまちがいなし。オリコン1位まちがいなし!」
まだまだあるよ! 3姉妹のちがい!
葉を詳しく丁寧に観察すると、さらに違いが発見できる。まず、葉の相違点であるが、カラスノエンドウは、先が針状に尖っていて、へこみが一番顕著であるのに対し、スズメノエンドウは、へこみが少なく、カスマグサはその中間である。次に実の中の種子の数は、カラスノエンドウは多数で、スズメノエンドウは、だいたい2個で、カスマグサはこれまた中間の3~4個である(学名のVicia tetrasperumaのtetraは4の意,sperumaは種子の意)。さらにカラスノエンドウのみに葉の基部の托葉には、黒い蜜腺があるのが特徴的である。なお、カラスノエンドウは、食べられる雑草として有名であるが、カスマグサ、スズメノエンドウは、まだ食べたことがなく、その賞味などは不明である。いつの日か採集し実際に食べて、その美味を証明したいものである。