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(663)春の山菜採り、てくてく・その6 ミツバとウワバミソウ
「今年の春は、いろいろな山菜をモンタ博士に教えてもらいましたが、どれもみんなとてもおいしかったです。」
「そうね。ノビルはもちろん、コゴミ、ギボウシ、タチシオデ、セリなども、わたしのお気に入りになりました。」
「それはうれしいね。まだまだ、あるんだけど、下の写真を見てごらん。この山菜も香りがよくて、とてもおいしいよ。」
「なんだろう。わたし、見たことがあるような無いような⋯⋯。」
「ふーむ、名前は知らないなあ。葉っぱは三つに分かれているみたいだな。三つの葉だな。」
「オー君! すごいね。正解だよ。おめでとう。そのとおりだよ、この植物の名前は、オー君が言ったとおり『ミツバ』でいいんだよ。」
「いやー、そんなにほめられちゃって、ぼく、うれしいです。ひょっとして、ぼくは天才なのかもしれないなあ。」
「そのようですね。天才・オー君! ところで、モンタ博士! このミツバという植物は、どんな所にあるのですか。」
「いい質問だね。さすがは花ちゃん。花ちゃんも天才だね。このミツバというのはね、日かげのややしめり気のある所や、川や沢の近くに見られるんだよ。」
「そういう場所にあるのですか。今度見つけてみようね。オー君!」
「そうだね。そうしよう。」
「二人でがんばって見つけてごらん。ところで、このミツバによく似ている植物があるんだよ。下の写真を見てごらん。」
「あっ! 右も左も三つの葉ですね。えーっと。ミツバは左だけど、右のも三つ葉っぽくて、よく似ていますね。」
「そうだろう。右の植物の名前は『ウマノミツバ』と言うんだよ。」
「えっ! 馬に関係しているんですか。」
「食べられる野草にはね。必ずと言ってもいいくらい、似ているか、まずいか、毒のある野草があるから気をつけた方がいいよ。この植物は、馬に食べさせるくらいにしかならないそうなんだ。モンタ博士も実際に食べてみたけど、おいしくはなかったね。」
「そうですか。食べてもおいしくないんですね。」
「そうなんだよ。まずいと言われているけどね、本当かどうか、モンタ博士も今回初めて食べたよ。でもね、やっぱりおいしくなかったね。ところで、ミツバのおひたしを作ったので、みんなで食べよう。」
「本当ですか。うれしいです。いただきまーす!」
「うわあー。とても香りがいいですね。これはおいしいです。最高です。」
「それは、よかったよかった。それでは、ついでに採集してきた、この植物はどうだろうなあ。食べられるものだよ。どうぞ! めし上がれ。」
「食べる前に言いたいのですが、とってもきれいな緑色ですね。」
「そうだね。何と表現したらいいかな。明るいグリーン色って感じだね。」
「この山菜は、何という名前なんですか。」
「これはね、『ウワバミソウ』と言うんだ。これは、葉を食べるというよりも、茎だけを食べるそうなんだ。さあ! お味はどうかな。」
「とても緑の色あいが良くて、目で見てもおいしいと感じます。」
「茎がシャキシャキしていて、歯ごたえがあっておいしいです。」
「それはよかったね。今度また、みんなで山菜採りてくてくに行こう!」
ウワバミソウのひとり言
私は、ウワバミソウと言います。別名をミズとか、ミズナとも言うんですよ。私は、とてもきれい好きで、水のきれいな渓流のような沢沿いや岩場にいるのよ。ミツバと同じような日陰が好きで、モンタ博士はミツバを採集した時に、私も一緒に採集してくれたというわけなのよ。私のチャームポイントというか、売りは、何とも言えないこの瑞々しい鮮やかな緑色でしょうね。茹でることによって、その色合いがさらに確認できるので、ぜひどうぞ。それから、食感がとてもいいので、たくさんのファンがいるのよ。名前の由来はね、「うわばみ」(蟒蛇⋯⋯大きなヘビ)、つまり、大きなヘビの住みそうな所に生えている草という意味なのね。さらにおまけに、ミズとは方言でね、水辺とか湿地とかに自生しているからなのよ。なお、山菜にはよく似ている野草があるというお話だったけど、アオミズというのは、葉が向き合っているというか、葉の付き方が全く違うから、間違えることはないと思うよ。