1.身近な自然の観察
(7)気象現象
(643)雷のひみつ・その2 ピカピカ
「ピカッ! とカミナリが光ってから、ゴロゴロという音がするまでに、少し時間があるのは、わたしも不思議だと思っていたんです。」
「それはね、空気の中を伝わる光と音のスピードがちがうからなんだよ。」
「なんだかむずかしいお話になってきたので、もう少し分かりやすくお話ししてください。」
「まず、音も光も、空気中を進む速さは決まっているんだ。音の場合には1秒間に340mなんだ。それに対して光は約300000(30万)kmも進むんだよ。音も速いけど、光というものはね、音とくらべものにならないくらい速いことが分かっているんだよ。」
「あっ! そのお話は聞いたことがあります。光は1秒間に地球を7周半するとかいうことですね。」
「地球の一周の長さは40000kmだから、300000÷40000=7.5。つまり7周半だね。」
「そうだね。そのとおり。よく知っているね。」
「つまり、ピカピカと光ってから、何秒でゴロゴロとなるかによって、カミナリが近いかどうかが分かるということですね。」
「そのとおり。例えば、ピカピカと光ってから、3秒たってからゴロゴロとなったとしたら、340m×3秒だから、1020m。だから、カミナリの場所は、約1kmはなれているってことですね。」
「だんだん、カミナリのことが分かってきて、少し安心してきました。」
「でも、ゴロゴロと音がすることは、前号で分かったけど、ピカピカと光ることについては、まだ謎だらけだよ。」
「モンタ博士! なぜ、カミナリは光るのですか。」
「カミナリの音がするのと同じように、プラスとマイナスの間に電気が流れるからなんだ。電気が雲の中を流れる時があるけど、雲と地面の間を流れる時もあるんだよ。それが、つまり、分かるかな。」
「分かった。雲と地面との間に電気が流れる時とは、カミナリが落ちる時なんですね。」
「ピンポーン。そのとおり。」
「でも、ピカピカと光ることと、どう関係があるんだろう。」
「そこで、みんなに質問だけど、おうちの電気の強さはどのくらいか知ってる。」
「ふつうは100ボルトですね。」
「そうだね。ところが、カミナリの電気は100Wの電球90億個分にもなるんだよ。」
「ものすごく強く大きな電気なんですね。」
「カミナリの電気はとても強くて、それで空気中を流れるけど、この時に周りの空気がとても熱くなるんだ。そして、この熱くなった空気から光や音、つまり、ピカピカやゴロゴロが出るんだよ。」
「ピカピカと光るものをイナズマというのですね。」
「とても熱くなるといいますが、どのくらいなのですか。」
「約2000度もあるそうだよ。つまりね、ちょっとむずかしくなるけど、積乱雲と地面との間に大量の電気が短時間に流れる放電という現象が起こるんだ。この放電の時に火花が発生し、この火花がイナズマということなんだ。」
なぜ? カミナリはジグザグに光るのか?
電気はふつう空気の中を進むことができませんが、雷は空気を突き破り無理に進んでいくことになります。この時、電気はより通りやすい所を選び、進んでは止まりをくり返しながら進むため、雷の通り道はジグザグになるというわけです。雷にとって通りやすいのは、空気がうすい所や湿度の高い所です。「空気がうすい」とは、電気が通るのを妨げる窒素や酸素の分子が少ない状態です。湿度が高ければ、水に含まれるカルシウムや金属物質によって電気が通りやすくなります。ジグザグに進むのは時間がかかるように感じ、遠回りのようにも見えますが、最も早く地表へたどり着ける経路ということなのです。