1.身近な自然の観察
(7)気象現象
(642)雷のひみつ・その1 ゴロゴロ
「うわあー。もくもく入道雲だね。花ちゃん。」
「そうね、むずかしい言葉で、積乱雲というのよね。」
「積乱雲か。聞いたことあるな。」
「暑い夏によく見られるわね。山がむくむくもり上がった感じの雲ね。」
「こりゃ、そのうちカミナリがゴロゴロと鳴り、ピカッ! とイナズマが見えるかもしれないね。」
⋯⋯それから、1時間後にゴロゴロとなり! ピカッ! と光ったとさ⋯⋯。
「キャー! こわい! わたし、カミナリがダメなんです。」
「おうちの中にいるから心配ないよ。だいじょうぶだよ。」
「そうだ! せっかくだから、カミナリについて勉強しようよ。ねえ、花ちゃん。」
「そうね、こわいこわいと言ってるだけではダメね。このさい、カミナリの正体をしっかりとつかんで、こわさとはサヨナラをします。」
「そもそも、カミナリって、どこで起こるの。」
「まず、日光で地面が強く熱せられ、地面近くで暖められたしめった空気がどんどん空にのぼって積乱雲ができ、その中でカミナリは発生するんだよ。」
「空気が空にのぼっていくんですね。」
「積乱雲の中では、空気が上へ行ったり下へ行ったりして、はげしく動いているんだよ。ところで、雲の中には何があるんだったっけ。」
「氷のつぶつぶがいっぱいあるんですよね。」
「その空気の動きによって、ぶつかったりわれたりする時に、プラスの電気をもつ『つぶ』と、マイナスの電気をもつ『つぶ』ができるんだ。」
「そのつぶたちは、その後、どうなるのですか。」
「それぞれの電気をもった『つぶ』は、雲の中の別々の所にたくさん集まるんだよ。」
「それからどうなるのですか。」
「するとね、ふつうの電気と同じように、カミナリの電気は、プラスとマイナスの間を流れるんだ。」
「えっ! ちょっと待ってください。ふつう電気って、電線などを伝わって流れるんじゃないですか。」
「そのとおり。よいところに気がついたね。そのとおりだ。しかし、カミナリの電気は、とてもとても強く大きいので、電気を通しにくい空気中でも、かんたんに電気を通してしまうんだ。」
「そのカミナリが空気中に電気を通すと、どんなふうになるんですか。」
「花ちゃんもよいところに気がついたね。空気中に電気を通す時に、とても熱くなり、それだけではなく、とてもはげしくふるえるんだ。つまり⋯⋯。」
「空気のふるえが、ゴロゴロという『音』になるということですね。」
「カミナリの音は、空気が電気でふるえる時に出る音なんですね。でも、ちょっと待ってください。カミナリのイナズマは光だから、すぐに見えるけど、ゴロゴロという音は、それから少したってから聞こえますが、それは、またどうしてですか。」
「そうだね。そのお話はまた次回にしよう。」
カミナリのゴロゴロという音
雷雲の中では、氷の結晶が空気と一緒に上へ下へと激しく動き、あちこちでぶつかり合って静電気が発生し、多くの電気がたまります。私たちの周りの空気は電気を通しませんが、大きな電気がたまると、空気中を電流が流れることがあり、それが雷です。ふつうは電気が流れない空気中を無理に電気が通ると、通り道になった空気は急に熱くなり爆発するように激しく膨張します。その衝撃が周りの空気に伝わって激しく振動させ、ゴロゴロと音が鳴るのです。