1.身近な自然の観察
(4)生物と日本人のかかわり
(606)コキアで箒作りにチャレンジ!
「あ! モンタ博士だ。」
「何をしているのかな。」
「何か一生懸命に作っている感じだね。」
「モンタ博士! こんにちは! さっきから何をしているのですか。」
「やあ! 花ちゃん・オー君元気かな。あのね、今、作っているのはね、何だと思うかな。」
「何か、木のようですね。いや、それとも草が枯れたものかな。」
「あまり見たことがないものみたいです。」
「そうかな。それでは、これは今枯れているけど、もし、これが赤い枝だとしたら、何か気がつかないかな。」
「赤い枝? さっぱり分かりません。」
「ひょっとして、これは、『コキア』ですか。」
「ピンポーン! そのとおりだね。これは、『コキア』だよ。上の写真は茨城県にある国営ひたち海浜公園のものだよ。」
「とってもきれいな写真ですね。どうしてこんなに赤いのですか。」
「それはね、紅葉しているからですよね。モンタ博士。」
「そうだよ。このコキアという植物はね、夏の間は明るいライムグリーンで、丸々としてかわいらしい形をしていてね、10月ころになると上の写真のように、赤くきれいになるんだよ。下の写真は枯れているコキアだよ。」
「この赤い植物と、今、モンタ博士が持っているものは⋯⋯同じなの? ⋯⋯あっ! 色はちがうけど、形はまったく同じだ。」
「このコキアという植物は、日本のものではないけどね、和名では、『ほうきぎ』というんだよ。」
「なるほど、それで、モンタ博士は、今、ホウキを作っているのですね。」
「そうだよ。ホウキが作れると言われているけど、本当にできるかどうか、自分で作っているというわけさ。実験みたいなものさ。」
「ほうきというと、学校のお掃除の時間くらいしか使わないわね。ところで、モンタ博士! 学校で使うホウキは、何を原料にしているのですか。」
「そうだね。いい質問だね。ふつうは、『ホウキモロコシ』というイネ科の植物を使うことが多いみたいだよ。別名を『ほうききび』ともいうんだよ。」
「へえー。そんな植物があるんですね。」
「今から200年くらい前に日本に輸入されたようだよ。その後、関東一円で栽培されたそうだよ。」
「今もそのホウキモロコシの畑はあるのですか。」
「今では東南アジアのタイ、インドネシアで栽培されたものを輸入しているらしいよ。」
「へえー、そうなんですか。」
「ほかにも、シュロやシダ、竹などを材料にしたホウキもあるんだよ。」
「へえー、ホウキの世界というのも奥が深いんですね。」
「それから、今、紹介したホウキは天然の植物素材をもとにしたものだけど、現在では、化学繊維でできたホウキの方が多いくらいだよ。水に強くてじょうぶで加工しやすく、使い道に合わせていろいろあるんだよ。」
「そうですね。おうちにもいろいろな化学繊維のホウキがあります。」
「そうだろうね。なんてお話ししているうちに、やっとできました。モンタ博士特製の『コキアホウキ』のできあがり。」
「とても上手にできてよかったですね。」
「ここで、お掃除が大好きなぼくのお友達にこのコキアのホウキをあげたんだ。そしたら、またね、その使い心地や、感想などが届いたんだ。」
御掃除好子さんから
感想文:
モンタ博士、コンニキア。なんちゃって! 今回の箒は箒っぽい箒ですね。まさかコキアだなんて。畑のキャビア(お米のこと)をどんぶりいっぱい食べるのが大好きなのですが、そのどんぶりの親分ですか。枝がとっても細くて、柔らかいですね。さっそくお掃除に使ってみましたら、コキアの細かい枝がはらはらといっぱい落ちてくるので、畳の部屋は諦めてテラスで使ってみることにしました。枝が細かく分かれていて柔らかいので、小さなほこりまでしっかりからめとってくれます。塵取りに集めるのはちょっと大変ですが、モンタ博士が持ってきてくださった時に「少しずつの束にしてタコ糸などで束ねて平らにすると良いよ」と教えてくださったので、形を変えながら使っていってみようと思っています。ちなみに細かい枝ですが、何回か使っているうちに落ちなくなってきて、あまり気にならなくなってきました。落ちたとしても有機物だから体に害はなく、安心ですね。