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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (3)季節きせつ生物せいぶつ
(601)ひかりはるをてくてく散歩
花ちゃん
「モンタ博士はかせ今日きょうはまだ2がつだというのに、北風きたかぜもなくておだやかで、あかるいしで、てくてく自然しぜん散歩さんぽには最高さいこうですね。」

「そのとおりだね。とってもちいいね。こういうのことを『ひかりはる』というんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「『ひかりはるか』⋯⋯。いい言葉ことばですね。それでは、みんなでいろいろと発見はっけんしましょう。あっ! あそこにいろはながたくさんさいていますね。」

花ちゃん
「フクジュソウですね。まばゆいばかりの黄金色こがねいろね。感動かんどうですね。」

 
フクジュソウ
写真1フクジュソウ
「そうだね。大地だいちしずかにひそんでいたはる息吹いぶき、春のささやき、春のよろこびがはなびらのいちまいいちまいからつたわってくるかんじだね。」
モンタ博士

オーくん
はる息吹いぶき、春のささやき、春のよろこ⋯⋯。これまた、とてもいい言葉ことばですね。」

「よくてごらん。くきにつくっぱはまだちいさいようだけど、ひかりをいっぱいすいこんでいるようだよ。なんだかとってもあたたかそうだね。」
モンタ博士

オーくん
「フクジュソウって、太陽たいようひかり全部ぜんぶひとりじめしているみたいですね。」

花ちゃん
「どうしたの? 今日きょうのオーくんは、言葉ことばにとてもこだわっていますね。」

言葉ことばについてよくかんがえることは大切たいせつなことだよ。言葉はこころあらわれだからね。あっ! そうだ。言葉と言えば、はいなんかもさんこうにするといいよ。」
モンタ博士

オーくん
俳句はいくですか。5・7・5のあれですね。ちょっと苦手にがてかな。」

 
「そんなことないよ。自分じぶんたものやかんじたことを自由じゆう言葉ことばとしてならべればいいんだよ。あまりばらずに、たのしんでつくればいいんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「フクジュソウについて、モンタ博士はかせきな俳句はいくなにかあるのですか。」

「そうだね。『ふくじゅそう をいっぱいに ふくみたる』なんていいね。高浜たかはま年尾としお高浜たかはま虚子きょし息子むすこ)の作品さくひんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「へえー、なるほど。そのまませずにつくればいいんですね。あっ! あそこにちいさなおはながあるよ。」

  
花ちゃん
ちいさなほしのようなしろはなは、ハコベですね。」

 
ハコベ
写真2
オーくん
「ハコベって、しゃがんでみないと、そのかわいいはなのようすとかは、なかなかかりませんね。」

ちいさなみちばたのはなに、しっかりとづき、ゆっくりとしゃがんで、よく観察かんさつすることは、とてもすばらしいことだとおもうし、大切たいせつなことだね。あっ! おもした。ハコベのゆうめいがあったね。」
モンタ博士

花ちゃん
なんという和歌わかですか。」

「そうだね。『かおめんちかづけて ほしいままにはこべをあいす』だったとおもうよ。みちばたの草花くさばな愛着あいちゃくつづけた歌人かじんの、木下きのしたげんさくだね。」
モンタ博士

花ちゃん
木下きのしたげんさんというのですか。はじめてくおまえです。もうすこ勉強べんきょうします。あっ! あそこにオオイヌノフグリが<さいているわ。オーくんこう。」

 
オオイヌノフグリ
写真3
オーくん
「うわあー。いいな、いいな。ぼくはオオイヌノフグリがだいきなんだ。れたには、コバルトブルーの瑠璃るりいろはな一生懸命いっしょうけんめいにさかせてくれるね。なんだかむねってさいているかんじだよね。」

花ちゃん
わたしだいき。そらいろはなで、キャッツ・アイ、つまりネコのともうんでしょ。」

オーくん
「それから、くもりやあめにははなひらかないんだよね。モンタ博士はかせの『てくてくぜん散歩さんぽ』をんで勉強べんきょうしたもんね。それから、うつむきかげんの姿すがたもまたいいもんだね。夕方ゆうがたになるとかぜばされたりもするんだ。そのはかなさもなんともえず、いいですね。花のいのちみじかいけど、そこに意味いみがあるんだよね。ちいさな花でもよくると、あじわいぶかくていいものですね。」

花ちゃん
「ずいぶんとかたりますね。今日きょうのオーくんは、すごいですね。」

オーくん
「あっ! おもした。『いぬふぐり ほしのまたたく ごとくなり』といううたも、モンタ博士はかせおしえてもらったな。」

「すごいね。よくおもしたね。これはたかはまきょというひとさくひんだよ。そうだ。これからもみんなで、あちこちてくてくして、よくて、あれこれとぶんおもったことやかんじたことを5・7・5にまとめてみようよ。」
モンタ博士

オーくん
「はい! かりました。⋯⋯いたいけど、ちょっとぼくにはハードルがたかかんじだな。まあ、いいや、よくるためにてくてくしよっと。」

 
花ちゃん
「そうね。そんなにあわてることもないよね。」

オーくん
「そうだよね。てくてくしようね、はなちゃん。よくるんだよね。よく見る、よく見る。あっ! あのかきねのしたなにかあるぞ。ってみよう。あっ! ぺんぺんぐさだ。たしか正式せいしき名前なまえは、ナズナだったよな。」

写真4
         
「ぎょ! いま、オーくんなんった。」
モンタ博士

オーくん
「よくると、ナズナのはながさいているんだ。かきねにね。⋯⋯だよ。それがどうかした。」

「ナズナのはなちいさくてたないちっぽけな花だけど、かきねのだまりにさいている姿すがたんだうたがあるんだ。だれだとおもう。
俳聖はいせい(すぐれたはいつくひと)として世界的せかいてきにも有名ゆうめいな『松尾まつお芭蕉ばしょうおなじようすをんでいるんだよ。
 『よくれば なずなく かきかな』
 つい見のがしてしまいそうな、小さなナズナの生命力せいめいりょく感動かんどうして詠んだ俳句なんだよ。日々ひび生活せいかつなかで、ちょっとしたことに感動する、よろこぶ、それが大切たいせつなことなんだね。オーくんは、すばらしい。さすがだ。感心かんしんした。」
モンタ博士

オーくん
「まあ、そんなにほめないでよ。⋯⋯でも、ぼくって、本当ほんとう天才てんさいなのかな。」

  
ナズナのひとごと
 私が「春の七草」の一つなのは、皆さんもよくご存知でしょ。でも、その中で最も早く花をつけるのは、私なんです。本格的に咲くのは3~5月なんですが、オー君が言っていたように暖かな日だまりの垣根の所では、2月の初めでも花を咲かせているんです。でも、花と言ってもとても小さいので、あまり目立ちません。花の色は白く4弁です。昔はアブラナ科とは言わずに、この仲間はジュウジバナ(十字花)科と呼ばれていたんですよ。私の名前なのですが、かの有名な日本の植物学の父と言われる牧野富太郎博士によると、愛する菜の意味ではないかとことですが、植物語源で著名な深津正氏によると、朝鮮語に起因しているのではないかとのことなんです。他にも諸説があるようですよ。
 なお、ぺんぺん草という名はかなり全国的なようで、実の形が三味線しゃみせんのバチに似ているからだそうです。学名のCapsella bursa-pastorisは、小さな箱+羊飼いの財布という意味もあるようで、東西によりかなりその見方は違うように感じます。それから、「屋根にぺんぺん草が生える」と言いますが、これは、没落した家などの屋根に生えるということなんですが、私は、屋根の上などには生えません。冤罪えんざいというもので、とても不名誉に思っています。また、茎についている実を、柄ごと少し引っ張り下向きにぶらぶら下げ、耳元で回してその音を楽しむとか言いますけどね、あまり音はしなくて、かすかな音なんです。でも、まあ、私に気付いて手に取って眺めてくれるということは、ちょっぴりですが、うれしいですよ。
   てくてく自然散歩シリーズ
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