2.植物の世界
(13)植物で健康シリーズ! 薬の世界
(597)大豆の大事なお話
「お! 枝豆だ。うまそうだ。いただきまーす。」
「モンタ博士も枝豆が大好きだよ。ビールには最高だね。」
「私もいただきまーす。おいしい! おいしいですね。あ! あ? あれ・・・。」
「もぐもぐ・・・どうしたの。花ちゃん。何を不思議そうな顔をしてるの。」
「この前のお米のお話を思い出したんだけど,枝豆,つまりダイズの種子のミルクである胚乳というのはどこにあるんだろうかと思ってね。」
「そういえば,そうですね。ダイズの胚乳はどこにあるのですか。モンタ博士!」
「いいところに気がついたね。胚乳がないのに,どのようにして芽生えのエネルギーを得ているんだろうね。それが分かるために,ここにダイズの種を用意したから,いまからまいてどのようになるか,実験してみよう。」
ということで,水をはったお皿にダイズを載せて,発芽のようすを見たそうな・・・
「あれあれ? 豆の中から種子と同じくらいの大きさの,厚みのある大きなものが出て,伸びてきていますね。」
「これは双葉だね(矢印)。つまり,ダイズはこの双葉の中に栄養をいっぱい貯めているということなんだよ。」
「どうしてそんなことをするのですか。」
「栄養源である胚乳のスペースをたくさんほしいけど,それでは,芽生えの胚は小さくなってしまう。そこで,ダイズの種子は,双葉という葉っぱの中に栄養分を詰めこんだということなんだよ。」
「芽生えは少しでも大きいほうがいいのですか。」
「そうだね。小さな芽生えが生きていくのは簡単ではないだろうね。大きくしっかりとしていれば,それだけ生き残る可能性が大きくなるということだよ。」
「なるほど,そういうことですか。」
「マメ科植物に多いけど,こういうのを『無胚乳植物』と,むずかしい言葉で言うんだよ。」
「ダイズもお米と同じように,栄養源としてたくさんの炭水化物をもっているということですか。」
「ところがどっこいちがうんだな。ダイズは,炭水化物に加えてタンパク質をもっていてね,『畑の牛肉』ともいわれたりするんだよ。」
「へえー。ダイズってえらいんですね。」
「それだけではないんだ。今朝のごはんを思い出してごらん。何を食べてきたかな。」
「もちろん,日本人の朝食は,ごはんとみそ汁です。」
「そうだろう。炭水化物が主成分のお米と,タンパク質をふくむダイズを組み合わせると,とても栄養のあるバランスのよい食事になるんだね。」
「そう考えると,豆腐や醤油もダイズから作られますね。」
「朝食は,ごはん,みそ汁,納豆,さらにお豆腐もあるといいね。」
脂質も含む栄養食品・・・ダイズ
ダイズは,たんぱく質の他に脂質も含まれます。サラダ油として,ダイズが原料となっているのは,そのためです。他に脂質に関係する植物としては,トウモロコシ,ゴマなども用いています。これらの植物の種子は発芽のためのエネルギー(栄養分)として,脂質を多く含んでいます。脂質は炭水化物に比べ2倍のエネルギ―を生み出すといわれています。植物には,炭水化物,タンパク質,脂質,という発芽のエネルギーがバランスよく含まれているといえます。