1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
2.植物の世界
(10)あら、不思議? 植物マジックの世界
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(592)ミカンパワーのひみつ
「ねえねえ,オー君。ミカンのおいしい季節となったわね。」
「そうだね。ミカンはビタミンCもたっぷりで健康にもいい果物だね。」
「ミカンだけではないわ,グレープフルーツやオレンジもおいしいね。」
「そうだね。それから,ミカンっておいしいだけではなくて,モンタ博士が教えてくれたけど,ファイヤー実験なども楽しめるし,ミカン大好きだ。」
「それから,ミカンのあぶり出しも楽しい遊びね。」
「ミカンのあぶり出し? どんな遊びだったかな。」
「これも火を使うから,子供だけではやってはいけない遊びだけど,オー君やったことないの。」
「うん。ぼく知らないなー。」
「ミカンの汁を集めて,それを絵の具代わりにして,筆を使ってかくのね。それを火にかざせば絵が出てくるのよ。」
「おもしろそうだ。いっしょにやろう。」
「花ちゃん,オー君。こんにちは,二人ともミカンで盛り上がっているみたいだけど,ミカンパワーの魅力に気がついたみたいだね。」
「なるほど,ミカンパワーって言うんですか。」
「そうだよ。ミカンパワーの力でミカンやグレープフルーツ,オレンジ,レモンなどは消しゴムにもなるし,接着剤にもなるし,爆発着火剤にもなるんだよ。」
「え! ミカンが消しゴムになる? 本当ですか。」
「え! ミカンが接着剤や爆発着火剤にもなるって,どういうことですか。」
「あのさ,小さいころに油性のサインペンでいたずら書きをして,消せなくなって,おうちの人におこられたことないかな。」
「あります。あります。サインペンに水性と油性とがあって,ふつう,水性はすぐに消せるけど,油性だと落とすのにたいへんなんだ。」
「私も経験があります。それはそれは困ってしまいました。」
「そんなときには,ミカンパワーを利用すればいいんだよ。つまり,ミカンや
オレンジ,グレープフルーツ,レモンでもいいけど,それらの皮で油性サインペンで書いたものを消すことができるんだよ。」
「それは,おもしろそうですね。今度実験してみます。」
「それで,ミカンは消しゴムになるということですね。では,接着剤というのは,どういうことですか。」
「それでは,今から行います。ここに取り出しましたのは,どこにでもある,発泡スチロールですね。種もしかけもありません。」
「その発泡スチロールをどうするのですか。」
「発泡スチロールカッターというのがあるから,好きな大きさや形に切ってみるね。それから,それらに,これまたミカンやレモンの皮の汁をつけると・・・あら! 不思議! くっついちゃいます。」
発泡スチロールカッター
「あ! 本当だ! 発泡スチロール同士がくっついて離れないぞ。こりゃあ,植物マジックだ。」
「いろいろな形に組み合わせて遊んでみよう。」
「私は,発泡スチロールで何本も棒を作って,そして,何となくくっつけていたら,おもしろい形ができたわ。」
「ぼくは,発泡スチロールをいろいろな形にしてくっつけ,車が完成したよ。今,はやりのSUVだ。」
SUV車
「うわー。かっこいいわ。それにしても,ミカンパワーって消しゴムになったり,接着剤になったりと,とても不思議ですね。」
「その不思議な謎はどうしてなのですか。」
「そうだね。答えを言っちゃうけど,ミカンやレモンなど柑橘系の『リモネン』という油の成分が入っているんだよ。その成分の効果によるものなのさ。」
「へえー。すごいですね,リモネン! それから,最後に爆発着火剤になるということは,どういうことですか。」
「ここに取り出したのは,どこにでもある風船です。普通の風船,バルーンアートなど,いろいろとありますが,この風船にミカンをしぼり,リモネンのミカンパワーの汁をふりかけると・・・。」
「どうなるのですか。」
「何か起こるのですか。」
「さあ! それはどうでしょうか。答えは以下の動画を見てください。」
リモネンの秘密
このリモネンというものが,最近,環境に優しい成分としてとても注目されてきています。例えば,オレンジオイル配合の洗剤の汚れ落ちが評判になったりしています。また,発泡スチロールを溶かす物質を利用してゴミ処理の際に,その体積(かさ)を減らす研究などが進められたりしています。