1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
3.動物の世界
(8)クモのなかま
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(579)ナガコガネグモのバッタゲット大作戦
ナガコガネグモ
「わ! クモだ。こわい!」
「まあまあ,そんなこと言わないで,今日はクモについて勉強しようよ。」
「でも,クモって毒をもっているんでしょ。」
「毒といっても,たいしたことないよ。そうですね。モンタ博士!」
「そうだね。クモは虫をつかまえ毒液を注入して,それから体液を吸って生きているけど,人間に害のあるのは,外国産のセアカゴケグモくらいだから,それほど心配しなくても大丈夫だよ。」
「でも,クモっていろいろいるんですよね。」
「そうだね。日本には1200種ほどいるそうだけど,全部覚えるのはむりだし,代表的なものでも知っておくと,自然観察が楽しくなるんだ。」
「そうだね。オー君の言うとおりだね。では,オー君。よく見かけるクモって,どんなものがいるかな。」
「そうですね。クモというと,野外でよく網をはっているジョロウグモをイメージする人が多いですね。でも,ハエトリグモとか,コガネグモとか,オニグモとか,いろいろいますね。ところで,モンタ博士は,どんなクモがお気に入りですか。」
「そうだな。モンタ博士は,ナガコガネグモが一番好きだね。」
「それは,どうしてですか。」
「まず,人里近くや田んぼなど,どこにでもいるし,写真のように大きさもあるし,色もなかなかきれいなんだ。」
「ぼくもナガコガネグモは好きです。クモの巣も大きく,円形でよく分かるし,それに,ちょいとイタズラしても楽しいんだ。」
「イタズラって,どういうことですか。」
「ナガコガネグモは,網の真ん中によくいるけど,その時に,ちょこんと体をつっついてやるんだ。つまり,ちょっかいを出すのさ。そうするとね・・・。」
「そうすると,どうなるの。」
「これがおもしろいんだな。はってあるクモの巣を前後にゆさぶるのさ。これは敵が来たと思って威嚇する行動だと本には書いてあったね。」
「そうだね。モンタ博士もよくちょっかいを出しては楽しんでいるよ。音叉を近づけるとおもしろいと言った人もいるけど,まだやったことがないので,今度チャレンジしてみようと思っているんだよ。それから,ナガコガネグモは正義の味方でもあるんだけど,知っているかな。」
「クモで正義の味方というと,『スパイダーマン』みたいですね。」
「スパイダーマンではないけど,ナガコガネグモは田んぼなどでよく見かけると言ったけど,お米などを食べてしまうイナゴ(コバネイナゴ)をつかまえて食べてくれるんだ。」
「そうなんですか。つまり,人間生活において,害を及ぼす虫を食べる益虫ということですね。」
「へえー。花ちゃんはさすがだね。益虫なんていう言葉を知っているなんて,さすがだよね,すごいね。」
「まあ,それほどでもありませんが・・・つまり,クモは人のために役立っているんですね。」
「そうだよ。そのとおり。それから,ナガコガネグモがイナゴやバッタをつかまえてから,エサにするまでは,とても迫力があるんだよ。あっという間にクモの糸を出しては,虫をがんじがらめにするんだよ。」
「なんだか,こわい感じですね。」
「まあ,そう言わずに,それが自然の姿,食うか食われるか,食物連鎖の世界を知ることにもなるんだよ。この前,田んぼでバッタやイナゴがナガコガネグモにつかまってしまった時を目撃したので,動画をとっておいたよ。」
「え! そんなに貴重な映像があるのですか。それはぜひ見たいです。そして,クモのことをもっと知りたいです。」
「それでは,以下の動画を見ることにしよう。でも,残酷だなー。見たくないなーと思う人は見なくていいんだよ。」
クモ学に入門しよう!
クモは羽がなく,足も8本で単眼であり,体のくびれも虫とは違う。昆虫類とクモ類の間には甲殻類がいるので,カニの隣の動物といえる。ムカデやヤスデなど足の多いほうが,昆虫に近い存在なのである。
クモは多様な生活環をもっており,芸術的な幾何学模様の網を張るクモもいれば,網を張らずに地上を忙しく走り回るクモもいる。目がよく見えてジャンプしてハエを見事にキャッチするクモもいるし,大量の糸を出して獲物を巻き付けゲットするクモもよく見かける。捕虫や産卵,子グモの保護,空中飛行などおもしろい生態を見せてくれるクモは,私にとって,ハチと同じくらいお気に入りの生き物である。