2.植物の世界
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(575)ツバキの笛づくり
「あれあれ? モンタ博士! 何をしているのですか。」
「何かを一生懸命にけずっているようですが・・・。」
「これはね,ツバキの笛づくりだよ。子供のころによく作っては遊んだものだよ。とてもいい音がする笛なんだ。」
「どうやって,作るのですか。」
「かんたんだよ。見てのとおりツバキの種を1つ用意して,けずるのさ。これは,ヤスリを使っているけどね,昔は,コンクリートやブロックでけずったよ。5ミリくらいの穴になればいいんじゃないかな。」
「けずった後はどうすればいいのですか。」
「次は,中のものをほじくり出せばいいんだよ。」
「どうやって掘るのですか。」
「そうだね。つまようじでもいいし,モンタ博士は,釘を使うね。釘の頭が中のものをほじくり出すのに,とても都合がいいんだよ。これも写真のようにすればいいのさ。何度も何度もやって,全部ほじくり出すんだよ。そうしないで,中のものが残っているといい音がしないんだ。」
「何だかおもしろそうですね。ぼくもやってみたくなりました。」
「どうぞ,やってごらん。こういうのは,けっこう楽しいものだよ。無心になれるというか,はまってしまう感じだね。」
「何だか,ヌルヌルじゃないけど,スベスベみたいな感じかな。ちょっとちがうな。ツヤツヤしてきた感じですね。」
「ツヤツヤしてきれいになった感じだろう。それは,これは,ツバキ油が出ているからだよ。」
「ツバキ油! 私,聞いたことあります。伊豆七島の大島の名産ですね。」
「そうだよ。ツバキはとても生活に役立つものでね。昔から,ツバキ油は食用にしたり,髪の毛につけたり,いろいろと利用してきたんだよ。伊豆大島の観光HPを見てごらん。もっとくわしく分かると思うよ。」
「そろそろ完成したみたいだね。」
「完成したら,後はふくだけですね。でも,どうやってふくんだろう?」
「そうだね。下の図のように,口びるにあててふくんだ。どんな音がするかな。ふき方によって,音がちがうから,それを楽しむのもいいね。」
「ツバキの種子の他でも,できるものはないのですか。」
「そうだね。マテバシイでも作れるよ。ツバキと同じ方法と手順でやればいいのさ。チャレンジしてやってごらん。」
ツバキについて
ツバキは学名をCamellia japonicaといい,日本の風土が育んだ世界に誇り得る樹木であり,有史以来最も身近な植物である。ツバキは神聖で繁栄を象徴する木として用いられるとともに,呪術的な魔力のある植物として取り扱われてきている。ツバキは大変長寿で年間を通して緑が濃くて変わらず,つやつやした光沢のある葉隠れに咲く妖艶な紅い花に,古代人は,自然の神秘性を感受し,その美しさに陶酔したであろうことが想像できる。