2.植物の世界
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(573)クズの葉とつるを使った遊び
「この前のクズの葉っぱのお話は,よく分かったし,とても楽しかったわ。」
「そうだね。植物も動くというのは,ぼくにとっては,大発見だったね。」
「いろいろと分からないことが分かったり,おどろいたり,発見したり,お勉強は大切なことですね。」
「そうだね。でも,昔から,『よく遊び,よく学べ』というから,遊びもわすれてはいけないと思うよ。この前は,クズについてお勉強したから,今日は,クズでいろいろと遊ぼうよ。」
「そうね。『よく遊び,よく学べ』ですね。」
「そこでだ。花ちゃん! クズの葉っぱでこんなことができるんだけど,知っているかな。」
「どうするの。何をどうするの。」
「とってもかんたん。まず,左手は軽くグーにして,その上にクズの葉っぱを1枚のせて,右手で上からたたくと・・・。」
「上からたたくと・・・。」
「『ポン!』と,とてもいい音がするんだよ。やってごらん。」
「上からたたくのね・・・バチ?・・・あれ『ポン』ってならない。」
「大丈夫,失敗は成功のもと! 何度もチャレンジしてごらん。」
「再チャレンジいきまーす・・・上からたたいて・・・『ポン!』うわあー!いい音ですね。もう一度・・・『ポン!』うわあー!。これはおもしろい!」
「そうだろう,そうだろう。やればやるほど上手になるよ。何度も何度も楽しめるね。」
「楽しいね。おもしろいね。はまりますね。あれ! あれ? こんなこともできるかも・・・。」
「何を思いついたの。どうするの。」
「ちょっと待っててね。葉っぱを全部とってしまって,そして,これをこうして,こうすればいいかな。そして,できあがりだわ。」
「さっきから何を作っているの。教えてよ。」
「ここをこうもって,こうすれば・・・。」
「あ! すごーい。クズのつるで『なわとび』だ。これはおもしろい。」
「もっと長くすれば,長縄になるわ。そしたら,もっと大勢で遊べるね。」
「すごいぞ。すごい。花ちゃんは遊びの天才だ。すごーい。あ! そうだ。クズのつるで輪投げの輪も作れるぞ。」
「すごーい。オー君も遊びの達人ね。あ! そうだ。輪投げができたということは,さらにたくさんのつるを長く使って,大きくすれば,クズのリースも作れるわね。クリスマスまでにたくさんかざりもつけて,すてきなものを作りましょう。」
「すごいね。すてきだね。あのさ,まだまだクズでいろいろな遊び道具が作れるかもね。いろいろとチャンレジしてみよう。」
「そうね。クズだけではなく,あれこれといろんな植物で遊べるかもね。」
「遊ぶことはいいことだね。遊びながら学ぶことができるし,学びが深まると,また遊びもより高度なものになるし,これからも『よく遊び,よく学べ』だね。」
草花遊びについて
日本には古くから自然物を素材とした遊びがあり,伝承遊びとして今も伝えられている。このことは,欧米などと比べると顕著な違いである。その理由としては,日本は,動植物の種類も豊富であり,山や川など地形的にも変化に富んでおり,その素材となるものが身近に豊富で多様にあったからであり,さらに,人間と自然とを一体的に考える日本人の自然観にも起因していると考えられる。
なお,絵本作家,児童文学者,工学博士,化学技術士でもある加古里子(かこさとし)氏によれば,草や木の遊びを通して得られる能力として,①選別の目と判断力,②性質,形状への注意力,③環境の総合認識,などを挙げている。