2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(565)オシロイバナのパラシュート遊び
「あ! これは,オシロイバナですね。モンタ博士。」
「そうだよ。モンタ博士のおうちの近くに咲いているんだよ。」
「ぼくも見たことあります。この花は,昼間は咲いていなくて,夕方になると花を広げ,夜に咲くんでしょ。」
「そうだよ。夏は,夜咲く花が多いけど,どんな花があるか知ってるかな。」
「黄色い花が川にいっぱい咲いてみごとなのは,オオマツヨイグサだね。」
「そうね。それから,私は,カラスウリも夏の夜に咲く花で好きですね。」
「カラスウリというのは,白いレース模様のような花でしょ。暗くてもよく目立つんだ。それに,夜咲く花は,スズメガなどいろいろな虫が来るんだ。」
「暗闇でも目立つような色なんだね。夏の夜の花は,香りがとてもよくて,それも,虫たちを寄せ集めるもとになっているんだね。」
「なるほど,香りも大切なポイントということですね。ところで,オシロイバナって,どうしてオシロイバナという名前がついているのかな。」
「オー君知らなかったの。オシロイバナというのは,夕方に咲くので,夕化粧という別名もあるんだけど,花が咲いた後に黒い実ができて,中にたくさんの白いものができるの。その白いものを顔につけたりして,『おしろい』として遊んだというのが,名前の由来なのよ。あ! そういえば,白いものといったけど,あれは何だったかな。モンタ博士教えてください。」
「そうだね。オシロイバナは実が黒くなるといったけど,若い実をつぶすと,白い乳液みたいなのが出るんだよ。それを顔につけて遊ぶのさ。あと,あの白いものとは,胚乳というもので,お米で言えば白米にあたるね。」
「なんかむずかしくなってきたな。」
「まあ,そんなことを言わずに,オシロイバナでいっしょに遊ぼう。」
「え! でも,ぼく,おしろいなんてつけるのいやだなあ。」
「オシロイバナは,おしろいで遊ぶだけじゃなくて,ヘリコプター遊びというのがあるのよ。いっしょにやりましょう。」
「ヘリコプター遊び? 何だかおもしろそうだな。どうやるのかな。」
「とってもかんたんなの。花をとって,飛ばすだけよ。」
「うわあー。これは,おもしろい。何度でもできるね。」
「花の下に,若い実を包んだ緑色のがくのようなもの(くわしくは苞という)を引っぱったり,緑色の部分をとったりと,いろいろとやってごらん。どんな飛ばし方が一番いいか教えてほしいね。橋の上から飛ばしたり,ベランダからやってみると,くるくるとよく回りながら落ちるのが見えて楽しいよ。」
オシロイバナに花はない!
アサガオに似た,ろうと状の花弁のように見える部分は,植物学的にいうと『がく』であり,その外側のがくのようにみえる部分は,『苞(ほう)』である。苞は,花に近いところにある葉で花を保護するためにあるといわれている。つまり,オシロイバナには,花冠がないのである。これは,南国に咲くブーゲンビリアと同じ仲間である証拠である。オシロイバナは江戸時代に渡来し,現在では野生化している。なお,おしべやめしべが共に動き受粉し,同花受粉するよい例でもある。このように確実に子孫を残すシステムをもった植物としては,ムラサキサギゴケ,ツユクサ,オオジシバリなどがある。花の咲き始めから咲き終わりまでの継続観察にはとてもよい材料である。