2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(559)タチアオイの動くめしべとオオイヌノフグリの動くおしべ
「うわあー。きれいなお花が咲いているね。何ていう花なの。」
「これはね,オー君。タチアオイというのよ。夏が近づくと白や赤のちょっと大きめの花を咲かせるのよ。」
「そうだね。タチアオイだね。モンタ博士も大好きな花だよ。タチアオイといえば,二人ともジブリアニメの『となりのトトロ』という宮崎駿監督の作品を見たことがあるかな。」
「ジブリアニメなら,ぼく大好きだし,『となりのトトロ』は何度も見たよ。テレビでも何度も放送していたけど,それがどうかしたのですか。」
「『となりのトトロ』の一場面に,このタチアオイがえがかれているんだけど,気がついたかな。」
「え!そんな場面ありましたか。」
「たしかにこのタチアオイが出てくるんだ。雨がふった日に『カンタ』が『サツキ』にかさを貸してあげる場面なんだけどね。」
「へえー。そんなところあったかな。でも,映画の場面でよくタチアオイと分かりましたね。」
「それだけ,はっきりと分かるようにていねいにえがいてあるということなのさ。それに,大トトロが寝ている場面のシダ植物の絵とか,小トトロが庭先をとことこ歩いている時のイネ科の植物とかね。」
「分かりませんでした。またくわしく見てみます。」
「どんな小さな場面でも草や木などを,一つ一つていねいにえがいているジブリ作品は,最高だね。感心することばかりだよ。ところで,話がそれてしまったけど,このタチアオイ,花を見て何か気がつかないかな。」
「とても大きな花ですね。」
「そうだね。夏の花って,大きいものが多いような気もするね。」
「それから,花の中が少し変わっているというか,中心から何か飛び出ている感じですね。」
「よく気がついたね。タチアオイなど,アオイ科の植物のおしべはちょっと変わっていてね,筒状になったところからおしべがたくさん出ているんだよ。ハイビスカスなどはこのなかまだけど,こんな姿の植物は他にはないよ。」
「そのとおりですね。特徴的なお花ですね。」
「おしべが変わった形なんだ。じゃあ,めしべはどうなっているのですか。」
「これがね,またおもしろいんだけど,ふつう『おしべ』の集まりの先にちょこんと出ているのが『めしべ』でね,先が5つに分かれたりしているんだ。」
「でも,タチアオイはちょっとちがう感じですね。」
「そのとおり,このタチアオイはまたまたおもしろいことをするんだよ。先端の『めしべ』がね,自分で動いて『おしべ』に近づいていくんだよ。」
「へえー。そんなにおもしろい動きをするんですか。」
「どんなふうに動くのか。見てみたいな。」
「そういうかと思ってね。この前,写真をとっておいたので,見てごらん。」
「上の写真は,まず,おしべが先に熟してきているんだけど,めしべはまだ出てきていない状態だよ。これが少しずつ変化するんだ。おしべとめしべの部分だけをアップにしたから見てごらん。」
「すごいアップの写真なので,とてもよく分かりますね。」
「ほめられちゃって,うれしいね。(1)は横から撮影したものだよ。めしべが飛び出しているのがよく分かるね。」
「はい,よく分かります。」
「それから,(2)は正面からのものだね。これもよく分かるだろう。」
「はい,よく分かります。」
「(3)はめしべがさらに伸びて,おしべにふれ合うようになっている写真だね。」
「すごい写真です。さすがモンタ博士ですね。ぼくもカメラでいろいろな自然の不思議を撮影していきます。今度見てください。」
「そうだね。楽しみにしているよ。」
おしべが動くオオイヌノフグリ
オオイヌノフグリは,ヨーロッパ
原産の
帰化植物で
各地に
分布し,
早春の
日の
当たる
暖かな
場所に
群がり
咲いています。
薄水色の
花に,やや
濃い
青い
筋が
走り,なかなか
芸術的な
装いも
見せてくれるかわいい
小花です。ハナアブなどが
訪れ
花粉を
運び
他家受粉もしますが,
夕方近くになると,
花弁を
閉じながら
自家受粉をするものが
多いようです。この自家受粉する
前に,よく
見ていると,おしべが
少しずつ
真ん
中のめしべに近づいていく
様子も
見ることができます。
今回,
経過観察した
写真を
下に
掲載します(2020
年1
月29
日撮影)。なお,オオイヌノフグリについては,てくてく
自然散歩の
No.38~40にも『オオイヌノフグリのひみつ』としてアップしてありますので,ご
参照ください。
(1)午後1時(おしべは変化なし) (2)午後2時(おしべやや変化) (3)午後3時(おしべがめしべに接近)