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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (5)自然観察しぜんかんさつ実験じっけんのてびき
(549)五感活用観察法ごかんかつようかんさつほう
花ちゃん
「ねえ,オー(くん)。モンタ博士(はかせ)から,五感(ごかん)使(つか)って観察(かんさつ)することがとても大切(たいせつ)だと(おそ)わったね。」

オーくん
「そうだね。ただ()るだけでなく,()(みみ)(はな)(くち)使(つか)うことだね。」

花ちゃん
()でふれると,ふわふわとか,つるつるとか,ざらざらとか,ちくちくとかがとてもよくかるわね。」

写真1
()でさわってみよう
オーくん
「コケなどにさわると,しめっているとか,かわいているとかもかるよね。それから,(あつ)()っぱとか,うすい葉っぱとかももよく分かるね。」

「あのね,()観察(かんさつ)するときに,()をつぶるともっとよくかるから,やってみてごらん。」
モンタ博士

花ちゃん
「はい,やってみますね。()をつぶると()ざわりもよくかりますが,いろいろな(おと)もよく()こえますね。」

写真2
(みみ)をすましてみよう
「そうだね。それでは,(みみ)使(つか)うということは,どういうことか(かんが)えてみようよ。」
モンタ博士

オーくん
「そうだ! (とり)()(ごえ)()いたりするときには,(みみ)使(つか)いますね。」

花ちゃん
「そうですね。それから,(かぜ)(おと)()いたり(かん)じたりすることもできるわね。」

オーくん
「それから,()と葉がこすれ(おと)とかもいいんじゃないかな。」

(むし)やセミの()(ごえ),そのほか,いろいろな()(もの)のようすを観察(かんさつ)するときも,(みみ)使(つか)うといいね。では,耳の(つぎ)には,(はな)を使ってみようか。」
モンタ博士

花ちゃん
(はな)でにおいをかいでみようというのは,植物(しょくぶつ)観察(かんさつ)をするときに,よくやりますね。」

オーくん
「そうだね。()っぱって,いろいろな(かお)りやにおいがあるんだね。」

写真3
(はな)でにおいをかいでみよう
花ちゃん
()っぱを(すこ)しちぎってみると,いいにおいがしますね。この(まえ),ヨモギつみをしたけど,とてもいいにおいでしたね。それから,ミカン()やクスノキ科,それからシソ科の植物(しょくぶつ)もいいにおいがしますね。」

オーくん
()(くさ)(かお)り,それから(はな)の香りって,いろいろあって(たの)しいよね。」

「そうだね。クンクンと(いぬ)になったつもりで,これからも,いろいろなにおいをかいでみてごらん。とても(たの)しいと(おも)うよ。」
モンタ博士

花ちゃん
(くち)(あじ)をみるというのは,()べてみるということですね。」

オーくん
「ぼくは,()べることが(だい)()きだ。」

花ちゃん
(わたし)大好(だいす)き。(あじ)にはあまいとか,からいとか,すっぱい,しょっぱいとか,いろいろな味がありますね。」

写真4
(くち)(あじ)をみよう
オーくん
植物(しょくぶつ)によってもいろいろなちがいがあるのかな。」

花ちゃん
「うん。そうらしいよ。キク()植物(しょくぶつ)(すこ)しにがいし,アブラナ科の植物は,少しからいそうなんだって。そうですよね。モンタ博士(はかせ)。」

「そのとおりなんだ。キク()のフキなどは(すこ)しにがみもあるし,アブラナ科のワサビはとてもにがみがあるね。でも,(なん)でもかんでもお(くち)れてはいけないよ。植物(しょくぶつ)には(どく)になるものもあるしね。(とく)にキンポウゲ科やケシ科植物には()をつけたほうがいいね。植物を口にする場合(ばあい)には,その()にいる先生(せんせい)などに(おし)えてもらったものだけにすることだね。」
モンタ博士

花ちゃん
「はい。よくかりました。()でさわって,(みみ)をすませて,(はな)でにおいをかいで,それから,(くち)(あじ)わうことが大切(たいせつ)なんですね。」

オーくん
()(みみ)(はな)(くち)・・・あれ? (よっ)つしかないぞ。(なに)かわすれているぞ。」

花ちゃん
「あ! そうだ。()をわすれていたわ。目で()ること,観察(かんさつ)することをわすれてはいけませんね。」

写真5
()()てみよう
「そうだね。()一番(いちばん)よく使(つか)うものだね。でも,自分(じぶん)の目で観察(かんさつ)する方法(ほうほう)にもいろいろとあるんだけど,かるかな。」
モンタ博士

オーくん
「ただ()るということではないんですね。」

「そうだよ。ウルトラマンになったつもりで(おお)きく()ることや,アリさんになったつもりで(ちい)さく(こま)かいところまで見ることも大切(たいせつ)だね。それからね,肉眼(にくがん)ではなく,ルーペや顕微鏡(けんびきょう)使(つか)って見ることも(たの)しいよ。くわしくは『てくてく自然(しぜん)散歩(さんぽ)』の次号(じごう)No(ナンバー).550を見るといいよ。」
モンタ博士

五感(ごかん)活用(かつよう)
 ()(みみ)(はな)(くち)()などの感覚(かんかく)器官(きかん)をフルに使(つか)活用(かつよう)することは,感性(かんせい)陶冶(とうや)につながると(かんが)えられる。しかし,昨今(さっこん)現代人(げんだいじん)は,()えるものだけにとらわれ,生活(せいかつ)していないだろうか。ある意味(いみ)動物(どうぶつ)(てき)(するど)い感覚(五感)の訓練(くんれん)子供(こども)時代(じだい)にしっかりと(おこな)い,()けさせてあげたいと(おも)今日(きょう)このごろである。

 以下(いか),五感を使(つか)うことの(たい)(せつ)さを(しる)した先哲(せんてつ)言葉(ことば)抜粋(ばっすい)紹介(しょうかい)します。

☆コメニウス『大教授学(だいきょうじゅがく)』より
 認識(にんしき)(つかさど)悟性(ごせい)と,認識の対象(たいしょう)異物(いぶつ))とを仲立(なかだ)ちするものは感覚内容(ないよう)であり,(ゆえ)に感覚内容がなくては,認識は成立(せいりつ)することができないと()べている。これは()()えれば,感覚内容は思考(しこう)素材(そざい)であるということである。

☆ルソー『エミール』より
 触覚(しょっかく)はすべての感覚の(なか)で,外部(がいぶ)物体(ぶったい)(わたし)たちの(からだ)(あた)える印象(いんしょう)をよく(おし)えてくれるものとして(もっと)(ひん)(ぱん)使()(よう)され,(わたし)たちの自己(じこ)保存(ほぞん)必要(ひつよう)知識(ちしき)(もっと)直接的(ちょくせつてき)(あた)えてくれるものとなっていると()べ,触覚の重要性(じゅうようせい)強調(きょうちょう)している。そして,幼年期(ようねんき)のエミールに(たい)して,自然物(しぜんぶつ)観察(かんさつ)工作(こうさく)による感覚の訓練(くんれん)(おこな)っているのである。幾何学(きかがく)(てん)文学(もんがく)()理学(りがく)化学(かがく)などの学習(がくしゅう)は,12(さい)()ぎてから(おこな)うことを主張(しゅちょう)している。また,幼年期(ようねんき)において感覚に(うった)える体験(たいけん)をさせることにより,体験に裏付(うらづ)けられた「()に付ついた知識」が獲得(かくとく)できるといっている。

☆モンテッソーリ『自発的(じはつてき)教育(きょういく)』より
 感覚の発達(はったつ)は,高次(こうじ)精神的(せいしんてき)(かつ)動力(どうりょく)の発達に先行(せんこう)している。そして,子供(こども)は3歳から6歳までが,その活動力の(けい)(せい)時期(じき)である。(したが)って,この発達期(はったつき)において感覚の発達を促進(そくしん)する必要がある。さらに,3歳から6歳までの時期は,急激(きゅうげき)身体的(しんたいてき)発達の時期を(ふく)むものであり,知力(ちりょく)関係(かんけい)のある感覚の活動力も(しょう)じてきて,五感が(ひら)けてくると()べている。
   てくてく自然散歩シリーズ
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