2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(12)野菜・果物も植物だ! おどろきの世界
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(546)キュウリのつるの不思議
「花ちゃん,オー君。上の写真は何だか分かるかな。」
「(1)はキュウリ,(2)はカボチャ,(3)はニガウリ(ゴーヤ)ですね。」
「ピンポーン。そのとおり。では,オー君! 3つの植物の共通点は何だろうね。」
「分かりました。どれもみんなウリ科の植物ですね。」
「それでは,ちょっとむずかしいけど,ウリ科の植物の特徴って,何だろうね。」
「むずかしいな。」
「では,ウリ科の植物って,他にどんなものがあるかな。それを考えてみよう。」
「メロン,スイカ,ヘチマもそうだし,ズッキーニ,マクワウリ,ハヤトウリもウリ科の植物だ。」
「カラスウリ,スズメウリ,アレチウリなどの野生の植物もありますね。」
「そのとおりだね。いろいろあるんだね。何か共通点はないかな。それが特徴さ。」
「どれもつるが伸びて大きく成長していく植物だ。」
「そうだね。つる植物は,自分では高く伸びないで,巻きひげなどを出して,何かにからみついて伸びていくんだよ。」
「でも,不思議ですね。どうやって巻きついていくのですか。」
「巻きつくために,どうするのですか。」
「そこがすごいところなんだけど,巻きひげは,何かにふれるとその先端が巻きつき始めるんだよ。そのつるがどうやって巻きついていくか,よく分かる実験があるんだよ。」
「どんな実験なんですか。何か実験器具は必要なんですか。」
「そうだね。えんぴつ一本あればOKだね。」
「えんぴつ一本? どうやるのですか。」
「つるの先端部分はとても敏感でね,その部分をえんぴつでさわったり,こすったりするんだよ。そうすると,キュウリの場合は2分くらいで巻きつくよ。」
「それはおもしろそうですね。」
「目の前で変化していくようすが,すぐに分かるから,この実験はおもしろいよ。モンタ博士はウリ科のカボチャやニガウリでやってみたけど,どれも数分で巻きついたよ。他のいろいろなウリ科植物でやってみて,巻きつきのスピードをくらべるのも楽しいかもね。アレチウリという帰化植物でもやってみたけど,な,な,なんと30秒であっと言う間に巻きついたよ。」
「それはすごいですね。楽しみですね。私もいろいろとやってみます。」
「それからね,巻きついたつるは,支えに近いところに『ねじれ』ができるんだよ。『ねじれ』が重なると,茎が巻きついた支えの方に引き寄せられるんだ。そして,『ねじれ』が『バネ』のように働いて,ゆるやかに植物体を固定するのさ。」
「へえー,そうなんだ。キュウリはいつも食べるけど,成長していくようすとかも,もっとくわしく観察することにします。」
「それとね,このらせん状の『ねじれ』だけど,もっとよく見て観察してごらん。つるの『ねじれ』がとちゅうで向きが逆になるんだよ。このことは,どんな意味があるんだろうね。あれこれと自分で考えてみるのも楽しいよ。」
「そうか。分かりました。『ねじれ』の部分がバネのように,伸びたり縮んだりしてかんたんに切れないのね。」
「そうか,それで,風がふいても,大丈夫なんですね。キュウリってすごい!」
キュウリのつぶやき
私たちウリ科植物は,花は単性といって,1つの株に雄花と雌花が分かれてついているのが特徴なんです。おしべは3つありますが,合着して1つの塊となっています。実はほとんどが液果。どれもつる草であり,葉のもとのほうから巻きひげを出すのもウリ科なのですが,ブドウ科も同じ巻きひげを出すので,注意して見てください。
ウリ科の植物は,他の植物や支柱を頼りにしてよじ登り,他の植物のように自分の茎で立たなくてもいいので,茎を強くする必要がありません。その分のエネルギーを使って,どんどん茎を伸ばすことができるのです。さらに,ウリ科の植物は,水を運ぶ導管や栄養分を運ぶ師管が太いため,効率良く水や栄養分を運搬することができるのです。導管や師管を太くすると,構造的に弱くなってしまいます。そのため,多くの植物は細い導管や師管をたくさん作って,植物繊維で補強しながら成長していきます。ところが,茎の頑丈さが必要ないウリ科のつる植物は,太い導管や師管をもつことができるのです。