2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(10)あら、不思議? 植物マジックの世界
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(544)エゴノキのシャボン玉
エゴノキ
「うわあー! きれいなエゴノキの花ですね。」
「モンタ博士の大好きな花なんだ。初夏の雑木林の代表的な木の花だね。」
「緑の若葉と白い花のコントラストがとてもいいですね。何だかとってもすずしげな花でいいですね。」
「そうだね。ところで,エゴノキの花の後はどうなるか知っているかな。」
「花はふつう,咲いた後は実ができますが,エゴノキの実って,あまり見ていないような気がしますね。」
「木々は若葉の展開のようすもいいし,その後の花ももちろんすてきだね。葉が色づいて落葉し,冬の裸木の姿もいいものだよ。冬芽もいろいろあって,観察すると楽しいよ。でも,実はあまり気づかないで見たりしないかな。」
「モンタ博士,下の写真はエゴノキの実ですか。」
「そうだよ。今日は,エゴノキの実についてのお話をしよう。」
「エゴノキの実というのは,すりつぶして石けんができるとか,植物の本に書いてあったような気がするのですが・・・。」
「よく知っているね。エゴノキには,エゴサポニンという物質が含まれていて,昔は,実をつぶして川に流し,魚たちを麻痺させて取る方法もあったらしいんだ。今では禁止されている漁法なんだとか,モンタ博士も本で読んだことがあるよ。」
「へえー。おもしろそうですね。みんなでエゴノキの石けんを作ってみようよ。」
「モンタ博士,どうやって作るのですか。」
「写真(1)と絵(2)もあるからよく見てごらん。まず,ペンチでエゴノキの実をつぶすんだ。手でやってもいいけど,ペンチを使う方がかんたんでいいよ。」
「なるほど,よく分かります。次はどうするのですか。」
「絵(3)のように,つぶした実をビンに入れ,水を入れてシャカシャカとふればできあがりだよ。かんたんだろう。」
「そうすれば,写真(4)のように泡がいっぱいになるのですね。楽しそうですね。私たちもやってみたいです。」
「そうだね。まずは実験をやってみることが大切だね。」
「ほんとうに石けんになるのですか。よごれが落ちるのですか。」
「あれこれと考えることもいいけど,自分で作り,自分で実験し,自分で確かめることが一番だよ。ということで,もう実験済みなんだよ。油のついたお皿でエゴノキ石けんでごしごしとこすったんだ。そしたらね,な,な,なんとよごれが落ちたんだ。うれしかったね。さあ,みんなもやってごらん。おもしろいぞ。おどろきだぞ。それからね,エゴノキの石けんの作り方だけど,動画でもとってあるので,それも参考にするといいよ。」
サポニンについて
エゴノキの果皮には,エゴサポニンというものが含まれており,かじると喉や舌を刺激し「エグイ・
エグ味」を感じることが名前の由来になっています。エゴノキは,古くから親しまれてきた万葉植物で,昔はこの果実をすりつぶして川に流す漁法が行われ,セッケンノキやドクノキなどと呼ぶ地方もあったそうです。サポニンは,自然の植物の根・茎・葉などに豊富に含まれ,苦味のもとになる成分です。植物の中でも,特に大豆やそら豆などのマメ科植物,高麗人参などのウコギ科の植物にも非常に多く含まれていることが分かっています。サポニンの抗酸化作用は体内の活性酸素を抑制し,コレステロールの増加を減らす効能があるため,健康被害の予防にも努められるというわけです。体内の活性酸素は,お肌のシワやシミ等,エイジングを早めてしまう原因になります。そのため,サポニンの抗酸化作用による活性酸素の減少は,アンチエイジング効果も期待されています。さらに,サポニンには,体内の免疫力アップ効果も分かっています。免疫力アップ,風邪やインフルエンザ,花粉症などのアレルギー症状からも体を守ることができるそうです。