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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (1)昆虫こんちゅう植物しょくぶつ
(542)モンシロチョウと
写真1
花ちゃん
「ぽかぽかしてきて,いよいよ(はる)だね。オー(くん)。」

オーくん
「そうだね。(なに)をするにも最高(さいこう)季節(きせつ)だ。あ! モンシロチョウがいる。」

花ちゃん
「ちょうちょうと()えば,やっぱりこの(うた)ね。

♪ちょうちょう ちょうちょう ()()にとまれ
菜の葉にあいたら さくらにとまれ♪」

オーくん
「あれ? その(うた),どこかおかしくないかな。」

花ちゃん
「え! (なに)がどうおかしいの。」

オーくん
「モンシロチョウは,()()には()るのは()かるけど,サクラにも来るのかな。」

「よく()()いたね。さすがはオー(くん)だね。この童謡(どうよう)『ちょうちょう』という(うた)にはひみつがあってね,もともとはわらべ歌だったこの歌の歌詞(かし)はね,

()()がいやなら この葉にとまれ♪

だったんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「へえー。そんなひみつがあったのですか。()らなかったです。おどろきです。」

オーくん
「モンシロチョウのなかまは,みんなアブラナ()()っぱを()べるのは,よく()られているけど,このひみつは知りませんでした。ところで,(はな)ちゃん,モンシロチョウはどうやって,アブラナ科の植物(しょくぶつ)()つけるか,知ってる?」

写真
花ちゃん
「それは,その・・・,()()()()つけるのでしょ。」

オーくん
「そう(おも)うでしょう。ところがどっこいちがうんだな。モンシロチョウはね,(あし)先端(せんたん)でアブラナ()から物質(ぶっしつ)確認(かくにん)することができるんだよ。つまり,足先(あしさき)にセンサーが()いているんだね。」

花ちゃん
「へえー。そうなんだ。足先(あしさき)確認(かくにん)してから,()()(たまご)()みつけるということね。すごいね。でも,よく(かんが)えるともっとからないことがあるわ。」

オーくん
(なに)がどうからないの。」

花ちゃん
「どうしてモンシロチョウの幼虫(ようちゅう)は,アブラナ()植物(しょくぶつ)しか()べないのかな。()ききらいなくいろいろな()っぱを食べた(ほう)が,いろいろな(ところ)()きていけるのではないかなと(おも)ったの。」

オーくん
「そうえば,そうだね。これまた不思議(ふしぎ)であるし,疑問(ぎもん)でもあるね。」

二人(ふたり)ともとてもいいことに()()いたね。今日(きょう)は,モンシロチョウと()(),それから,(むし)(しょく)(そう)との関係(かんけい)についていっしょに(かんが)えてみよう。」
モンタ博士

花ちゃん
「そうしましょう。そうしましょう。」

オーくん
「でも,どうやって(かんが)えていけばいいのかな。」

「そうだね。それでは,植物(しょくぶつ)()になって(かんが)えてみようよ。」
モンタ博士

オーくん
植物(しょくぶつ)は,自分(じぶん)(からだ)()べにくる(むし)たちに(たい)して,(なに)もしないのかな。」

花ちゃん
植物(しょくぶつ)は,(むし)()()べられないようにするために,植物の(からだ)(なか)に,(なに)(どく)とかいやなものをためるのですか。」

「そうだ。そのとおり。植物(しょくぶつ)は,忌避物質(きひぶっしつ)というものを体内(たいない)にためこむことをしてきたんだよ。では,ここで,(むし)立場(たちば)になって(かんが)えてみようか。」
モンタ博士

オーくん
(むし)()っぱを()べないと,()んでしまうな。それでは,(こま)りますね。」

「そこで,どうすると(おも)う?」
モンタ博士

オーくん
「そうか,(むし)(からだ)(なか)に,()っぱの(どく)分解(ぶんかい)したり,()()(すく)なくしたりするものを()っているんだ。そして,(なん)とか葉を()べようとするんだ。」

「そうだね。でも,植物(しょくぶつ)というのはいろいろあるし,(どく)物質(ぶっしつ)性質(せいしつ)にもいろいろと種類(しゅるい)がたくさんあってたいへんだろう。そこで,どうすると(おも)う。」
モンタ博士

花ちゃん
「そうですね。植物(しょくぶつ)種類(しゅるい)(おお)いから,ターゲットとなる植物をある特定(とくてい)のものに限定(げんてい)すれば,いいのかな。」

オーくん
「そうか。(むし)は,(しょく)(そう)となる植物(しょくぶつ)をしぼって,(どく)物質(ぶっしつ)性質(せいしつ)()りつくして植物の(まも)りを(やぶ)方法(ほうほう)(かんが)えるということですね。」

「そのとおり。モンシロチョウは,アブラナ()植物(しょくぶつ)()めて,対処(たいしょ)していく方法(ほうほう)()()していったんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「アゲハチョウは,ミカン()植物(しょくぶつ)と,アオスジアゲハは,クスノキ()のクスノキと()めて,あれこれと工夫(くふう)対応(たいおう)してきたというわけですね。」

花ちゃん
「でも,アブラナ()植物(しょくぶつ)()けていないと(おも)います。さらに(あたら)しい(まも)りの方法(ほうほう)(かんが)えるんですね。」

「つまり,植物(しょくぶつ)(むし)では,そうやって特定(とくてい)関係(かんけい)()まれてきたんだ。昆虫(こんちゅう)(とく)にチョウが特定の植物しかエサにしないというのは,こういう理由(りゆう)からなんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
昆虫(こんちゅう)植物(しょくぶつ)って,すごい関係(かんけい)なんですね。」

(なが)年月(ねんげつ)をかけて,そういう関係(かんけい)ができあがってきたんだ。昆虫(こんちゅう)植物(しょくぶつ)とは,競争(きょうそう)しながら(とも)進化(しんか)(つづ)けてきたし,今後(こんご)もそういうことが続くんだね。」
モンタ博士

モンシロチョウとスジグロシロチョウ
 モンシロチョウとスジグロシロチョウは,どちらもよく()種類(しゅるい)(しろ)いチョウです。(とも)(おな)じアブラナ()()(しょく)(そう)としています。ただ,生育(せいいく)場所(ばしょ)は,モンシロチョウはキャベツ(ばたけ)やダイコン畑などの()なたでよく()かけます。それに(たい)して,スジグロシロチョウは,イヌガラシやスカシタゴボウなどの野生(やせい)のアブラナ科を(この)傾向(けいこう)があり,(はやし)(ふち)日陰(ひかげ)の場所などにいることが(おお)いようです。
 この(ちが)いはなぜあるのでしょうか。キャベツは,(なが)(あいだ)(にん)(げん)(かい)(りょう)(かさ)ねてきた品種(ひんしゅ)です。キャベツが一般(いっぱん)()えられるようになる(まえ)は,モンシロチョウも野生のアブラナ科を()べていたのでしょうか。モンシロチョウの(なか)に日陰より日なたを(この)み,キャベツを(この)(しゅ)出現(しゅつげん)してきて,スジグロシロチョウと()かれたのでしょうか。(なが)年月(ねんげつ)をかけて,植物(しょくぶつ)(むし)変化(へんか)してきたことは,不思議(ふしぎ)()からないことも(おお)く,とても(きょう)()(ぶか)いものです。
   てくてく自然散歩シリーズ
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