2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(12)野菜・果物も植物だ! おどろきの世界
(535)カブのひみつ
「あ! 『大きなかぶ』なつかしいな。うんとこしょ,どっこいしょだったね。」
「1年生でお勉強したわね。わたしは,おばあさん役をやったわ。」
「とてもたのしかったね。でもさ,あんな大きなカブって本当はないよね。」
「そうね。八百屋さんで見るのは,みんな小さいわね。」
「そう思うだろう。ところがそうでもないらしい。外国では大きなものがあるらしいよ。というよりも,外国ではダイコンよりもカブの方が有名らしいよ。」
「そうなんですか。でも,ダイコンとカブってよく似ていますね。」
「同じアブラナ科の植物だけど,ちょっとちがうなかまなんだ。それから,ダイコンは白い花だけど,カブは黄色い花なんだ。」
「でも,ダイコンの方がカブよりもよく目にするし,よく食べるよね。」
「そうだね。ダイコンとカブをくらべると,カブの方が小さいし,弟分みたいだけど,本当はカブの方が先輩なんだよ。」
「つまり,日本にはダイコンの方が遅れて来たというわけですか。」
「そのとおり。カブの方が古カブなのさ。それに,ダイコンは今では野菜の中でも,もっとも生産量の多いものだけど,そのかげでカブは存在感がうすくなり,おかぶをうばわれてしまったというわけさ。」
「ふる『かぶ』とか,お『かぶ』とか,だじゃれ連発ですね。モンタ博士。」
「今日はさえているんだ。ところで,日本では人気が今一のカブだけど,外国ではよく食べているそうなんだ。その反対にダイコンはあまり食べないらしいけど,どうしてだと思う。」
「うーん。むずかしいなあ。分かりません。」
「それはね,つまり,日本にはいろいろなダイコンがあるけど,外国のダイコンというのは,小さな二十日大根くらいの大きさのものしかないらしいよ。」
「それで,小さなダイコンよりも大きなカブを食べているということですね。」
「フランス料理では,やわらかく煮こんだカブがつけ合わせにされるし,ポトフというお料理にはカブは欠かせないんだよ。それから,家畜のえさ用に大きなカブも改良されているそうなんだ。」
「そうなんですか。カブを見直しました。」
「おじいさんが種をまき育てた大きなカブを『うんとこしょ,どっこいしょ』と大ぜいで引っぱる『大きなかぶ』というのは,ロシアのお話だというのも分かるような気がするね。」
カブとダイコンの決定的なちがいについての
植物学的な側面から一考察
ダイコンとカブはよく似ていて,細長いのがダイコンで丸いのがカブと思われるが,そうでもないらしい。二十日大根や桜島大根はダイコンだけど丸いし,日野菜カブというのは細長いカブである。しかし,決定的な違いは,植物学的に見るとよく分かる。ダイコンは胚軸と根が太ったものだが,カブは胚軸の部分のみが太ったものだからである。つまり,ダイコンにはひげ根やひげ根の痕跡が残っているが,カブの表面はつるっとしている。カブの先っぽについている細長いひげのような部分こそが,カブの根なのである。