1.身近な自然の観察
(6)天文現象・自然現象・暦
(501)星空観察(ラブストーリーは永遠に)
「花ちゃん,このごろ星がとってもきれいだね。」
「モンタ博士のいうとおりだったわね。明るい星が多くて,冬も最高ですね。ちょっと寒いけど,星空観察は楽しいわね。ところで,モンタ博士が今は月が明るくないから『チャンス』といっていたけど,どういう意味か分かる?」
「今は,お月様があんまり出てないけど・・・。お月様って,三日月になったり半月になったり,満月になったりするよね。どういうことだ?」
「それはね。月は満ち欠けをくり返しているということなんだよ。半月や満月が出ていると,空が明るくなって,どうしても観察しにくくなるんだ。」
「それじゃ,ひと月のうちで,星空を観察するのは,いつでもいいってわけじゃないのね。」
「そうだよ。星空観察には,ひと月の中でも,よい時と悪い時があるのさ。」
「それじゃ,いつがいいの。」
「そうだね。今週の終わりから来週の始めころまでがいいね。」
「つまり,月があまり明るくならないということですね。」
「そうだ。今日が新月で,10日が上弦だからね。」
「新月? 上弦? 何だ? おいら分からなくなっちゃった。」
「ともかく,星空観察をするのは,『今でしょ!』ということですね。」
「そうだね。そして12月はクリスマスから年末年始のころが星空ウオッチングにはいいということさ。その次にいいのは,1月の終わりから,2月にかけてだね。」(月の満ち欠けはその年によっていろいろです。)
「はーい,分かりました。それで,今ごろは,どんな星や星座があるの。」
「そりゃ,何といってもオリオン座だね。夏の星もいいけど,やっぱり,冬の星だ。その中でも,特にオリオン座は,日本一じゃなかった,世界一じゃなかった。全天一,全宇宙で一番きれいな星座だと思うよ。」
冬の夜の『ラブストーリーは永遠に・・・』
月の神アルテミスは男まさりの女神で,狩りが大好き,弓矢の名人でした。狩りに行くと,猟師であるオリオンと出会うことが多くなり,二人は親しくなり,いつしかアルテミスはオリオンを慕い,オリオンはアルテミスを想う恋仲となりました。このようなようすを知った太陽の神アポロンは,妹のアルテミスのことが心配になり,二人を別れさせようと考えました。ある日,アルテミスの所に行ったアポロンが「近ごろお前とオリオンのことがうわさになっているぞ。」と言うと,アルテミスは「オリオンは本当にすばらしい友達で,尊敬しております。とても親しく信頼できる方です。」と答えました。アポロンは,「オリオンと会って,遊んでばかりいては,弓の腕前も落ちるぞ。」と言いました。弓の腕前をばかにされたアルテミスは,「そんなことを言うのなら,私の腕前を試してみてください。」と言うと,弓に矢をつがえ,「さあ,お兄さんのおっしゃるどんな的でも射抜いてみましょう。」と言いました。そこで,アポロンが,「では,あの海の上の光っている物を射てみよ。」と言うと,アルテミスは弓をきりきりと引き絞り,矢を放ちました。矢は見事に光っている的に命中しました。
実はこの的こそ海の上を歩いていて渡っていく途中のオリオンだったのです。アポロンは,オリオンをわざと光らせて的にし,アルテミスに撃たせてのでした。的に近寄って見たアルテミスは,このことに気付くと,兄であるアポロンをにらみつけ,オリオンを抱き上げると天に昇って星々の間にオリオンを横たえました。こうしてオリオンは星座になり,いつまでも雄々しい姿で輝くようになったのです。
昔の人は,月が1か月に一度オリオン座のそばを通り過ぎていくことを知っていて,このようなロマンチックなお話をつくったのです。
(注・・・オリオン座についての神話は他にもいろいろあります。)