2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(470)ハナトラノオ
「花ちゃん! 花ちゃん!」
「どうしたの? そんなにあわてて?」
「花ちゃん,花ちゃん,ぼく,大発見したんだ。すごいんだ。」
「え! 大発見? すごーい。さすがオー君ね。ところで,何を発見したの。」
「落ち着いて聞いてね。」
「さっきから落ち着ついているわよ。落ち着いていないのは,オー君よ。」
「あ! そうか,あのね,あのね,大発見というのは,この花なんだ。」
「これは,ハナトラノオね。」
「そういう名前だったのか。」
「まちがいないと思うけど・・・。そうですね。モンタ博士!」
「そのとおりだね。ハナトラノオだ。学校の北門に入ってすぐのところにたくさん咲いているね。これからどんどん咲くと思うよ。それがどうしたのかな。」
「それが大発見なんだ。ぼくがこの花を見つけて,あ! きれいな花だなあと思ってね,くわしく観察したらね,な,な,なんと! 茎のところが丸くなくて,真四角だったんだ。」
「え! 真四角って,□の形なの。正方形の形なの。」
「そうだよ。初めは気がつかなかったけど,きれいな花だから,ちょっとさわってみたんだ。そして,□の形に気がついたんだ。どうだ。すごい発見,大発見だと思うけど・・・。」
「すごい! 大発見だ! すばらしい! 最高! ブラボー! だね。」
「本当にすごいね。オー君。さすがね。わたし,感心しちゃうわ。」
「オー君。大発見,おめでとう。すごいね。よかったね。このハナトラノオというのは,オー君が発見したように,茎が□で角ばっているから,角トラノオともよばれているんだ。」
「わたしにもさわらせて! あ! 本当だ。四角いね。」
「オー君のすばらしいところは,あ! きれいな花だと,見るだけで終わりにしないで,自分でさわってみたことだね。」
「モンタ博士がいつもいっている,五感を使って観察するということですね。」
「そのとおりだ。五感を使って観察することは,いろいろな見方・考え方ができるというものさ。」
「五感を使って観察することは,とても大切ですね。」
「それから,モンタ博士がうれしいのは,オー君が,きれいな花に気がついてくれたことだね。さらに,□の茎を見て,おもしろいなーとか,不思議だなとか,おどろく心をもっていることがすばらしいことだね。」
「そうなんだ。ぼくは,植物の茎はみんな丸いものだと思っていたんだ。でも,このハナトラノオをさわったら丸くないので,びっくりしたんだ。」
「これからも,みんなでわくわくドキドキするようなこと,いっぱい見つけようね。あ! それから,植物の茎には,△三角もあるんだよ。」
「え! △? 三角? 三角の茎?」
ハナトラノオのつぶやき
わたしは,ハナトラノオ。漢字で書くと『花虎の尾』。花の咲く様子が虎の尾っぽみたいだからこの名前になったの。フィソステギアという学名でそのまま呼ぶ場合もありまーす。もともとは,北アメリカ原産(バージニア)で大正時代に入ってきたといわれているのよ。花が開く前のつぶつぶがとてもかわいらしいとか,残暑の中に私が咲きだすと,何となく涼しげであるとか,花の色がピンクで素敵とか,いろいろと評判になってしまって,ちょっと恥ずかしいくらいです。性質が強く,地下茎を伸ばして広がり,ほとんどほっぽらかしにしておいても大丈夫よ。とても育てやすいの。どう,あなたのおうちでも庭先に植えてみたらいいわよ。よろしくね。