2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(469)サルスベリ
「あれあれ? これはなんだろう。何だか植物みたいだ。どこかで見たことがあるなあ。どこだったかな。」
「あ! 分かった! わたし,見たことあるわ。これは,学校に咲いているわ。」
「え! 学校にあるの。ぼく,知らないなあ。どこ,どこ,どこにあるの。」
「えーっとね。北門を入って少し歩いたところにあるわ。高さは2mくらいかな。ネムノキという木があるでしょ。そのとなりよ。」
「ねえ,花ちゃん! 何という名前のお花なの。」
「名前はね,『サルスベリ』というのよ。」
「え! 『サルがすべった?』変な名前だな。」
「ちがうわよ。『サルスベリ』よ。」
「え! 『サルスベリ!』おもしろい名前だな。でも,何でそんな名前になったのかな。ぼく,その秘密を知りたくなったな。」
「そうね・・・何といえばいいのかな。あのね・・・,木のね・・・うーん。こまったな。どうやって説明すればいいのかな。あ! モンタ博士だ。モンタ博士! こまっちゃったんです。どういえばいいんですか。」
「そうだな。説明するよりも,本物を見たほうが早いよ。すぐに見に行こう。」
ということで・・・花ちゃんとオー君とモンタ博士は,国立七小の裏庭に行ったとさ。
「ほらほら,あそこ! あのピンクのお花よ。」
「うわー! たくさん咲いているな。きれいなお花だな。」
「きれいでしょ。私,サルスベリのお花が大好き!」
「きれいなお花は分かったけどさ,どうして『サルスベリ』なの。」
「それはね,ここ,ここをよく
見て。
木の
幹のところを見ると,まだらもようになっていて,すべすべしているでしょ。それで,おさるさんも木に
登れないで,すべってしまうので,『サルスベリ』というのよ。」
「なーるほど。そりゃぴったりの名前だな。ぼく,よーく分かったよ。」
「それからね,もう一つ別の名前があるんだけど・・・。何ていったかな。」
「もう一つ別の名前は,『百日紅』でしょ。」
「あ! そうだ。思い出しました。『サルスベリ』というのはね,夏のころから秋まで咲き続けるの。花の咲いている期間が長く,100日も咲いているので『百日紅』というの。これが名前の由来,つまり,いわれというものなの。」
「へえー,そうなんだ。植物の名前って,けっこうおもしろいんだね。ぼくもいろいろな植物の名前を調べてみるね。」
サルスベリのつぶやき
私は,もともとは中国原産の植物で日本にはありませんでした。江戸時代ごろに日本にやってきたといわれています。校長先生のおうちにもあるそうで,お気に入りの植物だそうです。木はあまり大きくならず,公園や街路樹などでも植えられています。花は枝の先に円錐状に咲くのが特徴で,花びらは6枚。どれもまわりがしわしわに波打っているのも他の花にない特徴です。花の色はピンクが多いのですが,白もあります。夏から秋まで咲き続けますが,これは,一度咲いた枝先からまた花芽が出てきて花をつけるために,咲き続けているように見えるためです。学名のラジェルストレミアとは,有名な植物学者リンネの友達のラジェストロウムさんにちなんで付けられたそうです。
散れば咲き 散れば咲きして 百日紅 (加賀千代女 作)