3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(419)コオロギ
「あ! 黒い虫だ。何だろうなあ。」
「お! これは,コオロギのなかまかもしれないぞ。」
「モンタ博士! この黒い虫は何ですか。」
「これはね,エンマコオロギの子供,幼虫だね。よく見てごらん。おなかのあたりに白い線があるだろう。これが特徴なんだよ。」
「モンタ博士! このエンマコオロギはどうしたのですか。」
「これはね,1-2のMくんと,2-2のOくんが持ってきてくれたのさ。」
「どこで見つけたのかな。」
「おうちのお庭で見つけたらしいよ。まだ大きさは1cmちょっとだけどよく見つけたね。何か虫はいないのかなと,自分から探したのがえらいね。感心だね。国立七小の近くは,まだまだ自然がいっぱいあるから,これからも生き物をいろいろ見つけてごらん。」
「でも,私のおうちはマンションだから,お庭がないの。どうしよう。」
「そうか・・・そういう人のために,今度休み時間などに校庭の裏庭に行って虫探しをしよう! そうだ! 『虫探し教室』をやろう!」
「モンタ博士の『虫探し教室』! わーい! わーい! こりゃ楽しみだ。」
「モンタ博士は,子供たちと遊ぶのが大好きなんだ。虫探しの他に,『草花遊び教室』,『草笛教室』,『どろ団子づくり教室』,『竹細工教室』,『お散歩教室』『植物観察教室』『虫取り教室』などもやっていこう。お楽しみにね!」
「わーい! わーい! うれしいなうれしいな。楽しみにしていますね。ところで,さっきのエンマコオロギですが,他にどんな特徴があるのですか。」
「そうだね。虫のことはオー君にお話ししてもらおうよ。」
「その前に,コオロギは子供の姿のままで大きくなる不完全変態の昆虫さ。それからよーく見てごらん。写真のコオロギには羽がないだろう。だから子供つまり,幼虫ということさ。」
「コオロギって,いい声で鳴くのよね。まだ鳴かないの。」
「大人になって,羽が生えてきたら,秋になったら,その羽をこすり合わせて音を出すのさ。スズムシなんかもみんな同じだよ。」
「コオロギって,とてもきれいでステキな鳴き声ですね。」
「ねえ,花ちゃん。鳴き声だって,いろいろとあるんだけど知っているかな。なわばりを主張して鳴く『ひとり鳴き』,メスを誘う『誘い鳴き』,それからオスと戦う『争い鳴き』もあるんだよ。」
「へえー。そうなんだ。ところで,コオロギはいつ鳴くの。」
「朝と夕方が多いね。特に,求愛や交尾は明け方近く,石の下などに集まって行われるんだよ。」
「そのとおりだね。コオロギは飼うのも簡単だよ。今から成虫になるまで育てて,いろいろと観察すると楽しいよ。モンタ博士のお勧め昆虫だね。」
コオロギのいろいろ
エンマコオロギは日本で見られるコオロギの中で最大。頭は球形で,顔には白色の眉状班がある。コロコロリーと鳴く。ミツカドコオロギもごく普通にどこにでも見られる中型のコオロギ。雄の顔が三角に張り出していることからこの名前がついた。張り出し方はかなり大きく,上から見てもよく分かる。ただしメスの顔は一般のコオロギと同じで丸みがある。畑の土に小さな穴を掘って,そこを隠れ場所にしている。鳴き声はリッ,リッ,リッと強く鳴く。ツヅレサセコオロギもあちこちで見ることができるコオロギ。鳴き声が「早く冬に着るものを縫ってしまいなさい。」と言っているかのように聞こえるために,「綴れさせ」と名前がついたと言われている。鳴き声はリーリーリーと長く鳴く。なお,万葉集にキリギリスと詠まれたのは,このツヅレサセコオロギであるそうだ。