3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(407)カマキリ物語 2
「キャー! カマキリが何か食べてる!」
「おどろくことはないよ。花ちゃん。食べたり食べられたりするのが,自然の姿なんだよ。」
「そのとおりだね。この写真は,カマキリがコオロギを食べているところさ。」
「でも,モンタ博士。この写真,おかしいですね。今ごろこんな大きなカマキリはいないと思いますが。」
「そのとおりだね。この写真は秋にとったものさ。」
「それにしても迫力ある写真ですね。」
「そうだろう。カマキリにコオロギを見せたら,すごい速さでカマを伸ばして,コオロギを食べ始めたんだよ。」
「すごい食欲ですね。」
「ところで,このカマキリはオスかメスか,どっちか分かるかな。」
「この写真だけで,オスかメスかが分かるのですか。」
「これはメスだね。おなかが太ってるね。」
「そのとおりだね。さすがオー君,よく知っているね。この大きなおなかには,卵が入っていると思うんだ。だから,たくさんの栄養が必要なんだよ!」
「よく見ると,頭からかじってるわ。」
「もしかしたら,カマキリはつかまえた昆虫を食べるときは頭から食べるのかもしれないね? 秋になったら,いろいろと調べてみようね! 花ちゃん。」
「おもしろいことに気がついたね! カマキリがどうやってエサを食べるか,観察をつづければ,いろいろなことが分かって楽しそうだね。」
「あのね,花ちゃん。カマキリは共食いすることもあるけど,時には,メスがオスを食べてしまうこともあるんだよ。」
「へえー! それはびっくり仰天ですね。」
「だけど,必ず食べるというわけじゃないんだ,秋になりエサが少なくなると,卵を産むためにオスも食べてしまうらしいんだ!」
「卵を産むために必死なんですね。」
「そうだね。自然の世界というのはきびしいものなんだね。」
カマキリの天敵
カマキリの卵は丈夫な卵のうで守られているので,絶対に安全かというとそうでもないようです。昆虫界のギャングとか,王様とか言われているカマキリにも天敵はいるのです。その代表がカマキリタマゴカツオブシムシやオナガアシブトコバチで,卵のうに寄生して卵を食べてしまいます。
カマキリタマゴカツオブシムシの成虫は,卵のうに穴をあけて中に入り,カマキリの卵に自分の卵を産み付けます。その卵からかえったカマキリタマゴカツオブシムシの幼虫は,カマキリの卵を食べて成長するのです。また,オナガアシブトコバチは,卵のうの上からおしりにある長い産卵管を差し込み(これらの仲間を寄生蜂といい,とても興味深い生活環で面白い世界です。そのうち国立てくてくでお知らせします。),中のカマキリの卵に自分の卵を産み付けます。やがて,卵からかえったオナガアシブトコバチの幼虫は,同じようにカマキリの卵を食べて大きくなります。
成虫にも天敵はいます。コウモリや鳥などに襲われたりします。また,ハリガネムシというちょっと変わった動物にもよくやられます。ハリガネムシというのは,昆虫ではなく,回虫などの仲間で線形動物と言います。これがまた,針金そっくりで,変な形で面白い生活環をしている生き物なのです。