3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(406)カマキリ物語 1
「あ! このカマキリは,1年生のSくんが持ってきてくれたものですね。」
「今ごろ見ることができるのは,幼虫だね。こいつは,小さいといってもオオカマキリの幼虫だね。」
「これは,たぶん2齢幼虫か3齢幼虫だね。」
「2齢とか3齢とか,何のことですか。」
「あのね,オオカマキリは6~7回くらい脱皮をくり返して,成虫になるんだけど,だいたいの大きさで何齢かが分かるんだよ。」
「そうなんだ。ある人がカマキリの成長のようすを調べたデータが下の表さ。」
「へえー。なんだかむずかしそうなお話ですね。」
「そんなことないよ。カマキリは,強い昆虫で動くものならなんでもギョロリとにらみ,2本の大きなカマで他の虫をとらえてエサにするんだ。もし敵ならば,カマをふり上げて戦うんだ。」
「きびしい自然の世界で生きる,カマキリのひみつをさぐってみようね。」
「そうだよ。カマキリの一生は,波瀾万丈の冒険に満ちているんだ。」
「カマキリの幼虫は,小さくてとても弱いんだ。雨にぬれて死んでしまったり,他の生き物に食べられてしまったりするんだよ。」
「どんな生き物に食べられてしまうのですか。」
「アリ,クモ,カナヘビ,カエル,それから鳥などにも食べられたりするね。」
「へえー。つまり,まわりは敵ばかりということですね。その中で生き残っていくのは大変なことなんですね。」
「生き残るのはほんの少しだけなんだ。だから,カマキリの『卵のう』からは,200匹くらいの幼虫がたくさん生まれるんだよ。」
「200匹の幼虫がぜんぶ成虫になったら,エサは食いつくされて,かえってその昆虫はほろびてしまうことになるんだ。食ったり食われたりする生物のくらしが,実は生物全体のバランスを保つことに役立っているということなのさ。生き物はみんなつながりあっているというわけだね。」