3.動物の世界
(3)脊椎動物のなかま
(401)コウモリ
「あれあれ? これは何ですか。」
「これは,ひょっとしてコウモリですか。」
「そのとおり,コウモリです。」
「え! コウモリというと,血をすってしまう『吸血鬼ドラキュラ』を思いうかべてしまいますが・・・。それから,バットマンというのもいましたね。」
「だいじょうぶだよ。花ちゃん,実際に血をすうコウモリはとてもめずらしくて,日本にはいないんだよ。」
「でも,このコウモリはどうしたのですか。」
「国立七小の子が持ってきてくれたのさ。毎朝,校門に立っていると,いろいろな子がいろいろな生き物を持ってきてくれるんだ。」
「そうですね。きれいな植物の実を見せてくれたり,キノコを持ってきたり・・・。モグラを持ってきたりもしましたね。」
「女王アリをつかまえてきたり,ある時は,ヘビを持ってきた子もいましたね。ところで,コウモリってどこにでもいるのですか。」
「コウモリは夕方になると,学校の近くでもよく見られるんだよ。」
「そうだよ。チョウチョのようにフラフラと飛ぶ生き物がいたら,そいつは,たぶんコウモリさ。」
「コウモリって,ちょっと変わった生き物ですね。」
「そうだね。鳥でもなく昆虫でもなく,コウモリは哺乳類なんだけど,特殊な生き物だね。」
「飛ぶための羽は,ひふが変化したものだといわれているんだ。」
「前足,特に人間でいう手のひらがとても発達しているんだよ。そして,その反面,後ろ足は立つことをするよりも,木の枝などにぶら下がり,逆さま状態で休んだり,ねたりする変わったやつなのさ。」
「鳥や昆虫以外で空を自由に飛べる生き物は,コウモリだけなんだ。」
「ムササビも空を飛べるんじゃないかな。」
「ムササビやモモンガなどは飛ぶというよりも,滑空するというんだ。」
「ふーん。コウモリって,謎の多い生き物なんですね。」
「それから,コウモリって夜行性なんだよ。」
「それで,コウモリは視覚よりも超音波を使って空間を認識したり,なかまとのコミュニケーションを取ったりしているそうなんだよ。」
「超音波ですか。ますます謎だらけの生き物ですね。」
「なお,コウモリのエサは,昆虫や果実などで農家の人などにとっては害獣として見られていますが,直接人間に危害を与える生き物ではないから,安心してもいいよ。それから,いろいろな生き物がいるけど,鳥のなかまやけものなど,もし見つけても,直接手でさわることのないように注意しましょう。」