1.身近な自然の観察
(3)季節と生物
(397)スプリング・エフェメラル
「うわあー! きれいな花がいっぱいだ。」
「すごいですね。でも,このお花どこに咲いていたのですか。」
「これはね,モンタ博士のおうちの近く(八王子市)に咲いていたものだよ。」
「春になっていろいろなお花が咲いて,本当に気持ちいいですね。」
「そうね,国立七小の菜の花はもう終わりだけど,ハナダイコン(ムラサキハナナ)は,まだ咲いているわ。それから,校長先生が持ってきたシャガも体育館の西で咲き始めているわ。」
「学校中が花でいっぱいということだね。」
「校長先生は,去年よりももっと『花いっぱいの学校』にするといっていたよ。」
「それは,とっても楽しみなことですね。」
「ところで,花ちゃんとオー君は,上の花を見たことあるかな。」
「ふーむ。ぼくは見たことないな。」
「雑木林などではよく見かける花だよ。城山や一橋大学構内などでもたぶん見られる花だね。」
「チゴユリという花ですね。チゴとは稚児と書いて,子どもという意味です。」
「ほほー。さすが花ちゃんだ。ユリのなかまで少し下向きに咲くのもいいね。」
「高さ20センチほどの小さなユリね。花の色が純白なのもステキね。」
「雑木林にしゃがみこんで,ウグイスの鳴き声を聞きながら,小さな花たちのお祭りに参加するのも楽しいね。生命の季節を感じながら,わくわくドキドキしていこう。」
スプリング・エフェメラルのつぶやき
春の里山では,美しい野の花たちのパレードが始まっています。もちろん私たちスプリング・エフェメラルが,一番に春の目覚めを告げるんです。スプリング・エフェメラルというのは,「春のはかない命」という意味で,雑木林の主要な木々である落葉樹が,葉を全て展開する前のほんのひと時,林床に花を咲かす植物のことなんです。また,春の妖精との異名も持っているんです。そのスターと言えば,カタクリ,ニリンソウ,ムラサキケマン,チゴユリ,キンランなどなど,他にもいろいろとありますが,これらの植物は,春の陽光を待ちわびて,夏までの間に光合成を行い,地下の栄養貯蔵器官や種子に栄養分を蓄えます。そして,その後は,春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごすというライフスタイルの持ち主なんです。連休の終わり頃までの野山で皆様をお待ちしておりますので,どうか,私たちを探しに来てください。