3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(387)クビキリギス
「あれあれ? 真冬なのにバッタがいる? 不思議ですね。なんていう名前なの。」
「このバッタはね,見守り会の横戸さん(甲州街道の歩道橋の所にいつも立っている人です。昨年の秋,十数年にわたる児童登校時の安全見守りの功績に対して,市民表彰された初代見守り会会長さんです。)が見つけてくれたものです。冬なのにどうしてバッタがいるのか不思議に思って,モンタ博士にとどけてくれたんだよ。」
「このバッタはね,クビキリギスという名前のバッタなんだ。」
「ほほー。さすがはオー君。よく知ってるね。感心感心だね。それでは,今日は,オー君にいろいろと教えてもらうことにしようね。」
「まかせておくれよ。ぼくは,バッタについては,ちょいとくわしいのさ。」
「へえー! すごいね。かっこいいね。よろしくお願いします。」
「まず,バッタといってもいろいろいるんだけど,こいつはキリギリスのなかまなんだよ。冬でも成虫でいるのは,こいつとツチイナゴくらいだね。」
「キリギリスのなかま? どういうことですか。」
「バッタは,大きく分わけて,バッタ・キリギリス・コオロギの3つのグループになるんだ。バッタのなかまは昼間に動くものが多くて草食さ。触覚は短いんだ。ところが,キリギリスやコオロギのなかまは,夜行性で肉食か雑食で,触角は長い。それに羽をこすり合わせて鳴く虫も多いね。」
「ふーん。なるほど,よく分かりました。ところで,このクビキリギスは?」
「体の色は緑色かかっ色で,頭がとがったちょっと大きめのキリギリスだね。下の写真でも分かるように,口のまわりが赤いのが特徴だね。それで,『血吸い虫』とも呼ばれることもあるんだよ。」
「本当に赤い感じですね。」
「顔をよーく見ると,だれかに似ているような気をするんだけど,花ちゃんはどう思う。」
「そうね・・・。あまり思いうかばないわ・・・だれかって,だれですか。」
「ぼくには,ゲゲゲの鬼太郎に出てくる『ねずみ男』に見えるんだ。口紅をした『ねずみ男』だね。」
「なーるほど。そういわれればそんな感じもしますね。ところで,このクビキリギスはどこにでもいるバッタなのですか。」
「そうだね。どこにでもいるけど,今は冬だからあまり目立たないかもね。でも,こいつをつかまえるときには気をつけるんだよ。すごいあごをもっていて,指にかみつくと,ちょっとやそっとでは離さないんだ。」
「それじゃいたいでしょうね。」
「いたいだけじゃないんだ。無理に引っぱると首がぬけてしまうこともあるんだ。それで,クビキリギスという名前がついたといわれているのさ。」
俺の仲間でピンクの体色の変わった奴がいるそうだ。普通,バッタの体色は生まれた環境で決まる。湿り気のある草地で生まれた個体は緑色,乾燥した草地で生まれた個体は茶褐色になる。乾燥した場所は,枯葉の混ざる率が高く緑色だと目立ちすぎて外敵に襲われやすくなるので,防衛手段として,体色変化が起こるそうだよ。ところで,ピンクの奴はどんな環境で生まれたんだろうな? 俺も知りたいよ。
バッタの3つのグループ
バッタの仲間・・・・・ショウリョウバッタ,イナゴ,トノサマバッタなど。
キリギリスの仲間・・・ツユムシ,ササキリ,クツワムシなど。
コオロギの仲間・・・コオロギ,マツムシ,スズムシなど。