2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(380)スイセンの花
「ねえねえ,花ちゃん! 土曜日,日曜日と,とっても寒かったね。」
「そうね,寒かったわね。今が一番寒いわね。寒いといえば,すっかり校庭の木も葉を落として,国立七小の校庭もさみしい感じですね。」
「そうだね。こんなに寒いと花も咲かないね。」
「本当かな。二人とも校庭をよく見ているかな。今を盛りに咲き始めた花もあるよ。ほらほら,あそこだよ。見てごらん。」
「あ! 本当だ。気がつかなかったわ。」
「あ! これか,ふむふむ。とてもいい香りがする花だな。何ていう花なの。」
「これは,スイセンというお花よ。私,大好きだわ。」
「モンタ博士も大好きだね。こおりつくような大地から,生き生きとした葉を伸ばして,清らかな花を咲かせるスイセンは,北風の中にあっても,凛としていて,どこか春の息吹を感じさせてくれるからね。」
「春の息吹・・・,春の足音・・・。いい言葉ですね。心がほっこりする感じですね。春はまだまだ先と思ったけど,少しずつ季節は変化しているんですね。」
「気品あるスイセンの花の,清楚な香りに包まれて迎える初春は,新生の気に満ちていて,最高なんだよ。」
「わたし,お正月にスイセンなどのお花を飾るのを見たことがあるわ。日本には,スイセンはなくてはならないものですね。」
「でも,スイセンは元々日本の植物ではないんだよ。鎌倉時代(800年くらい前)か室町時代頃(450年くらい前)に日本にわたってきたらしい。」
「え,それじゃ,今,あちこちの日本中に見られるスイセンというのは,どうしてあるのですか。」
「それはね,長い年月をかけて日本にたどり着いたものが,日本の自然にうまく対応して育ち始めたということなんだよ。紀伊半島,伊豆半島,南房総など,黒潮の洗う海岸にいっぱい咲くんだ。それはそれはみごとだよ。」
「スイセンの花の,元々の生まれ,故郷はどこなのですか。」
「中国ではなく,シルクロードよりもさらに西。はるか地中海方面から伝えられたらしい。まあ,要するに,スイセンは『はるかなる旅人』といったところだね。」
「『はるかなる旅人』か・・・。いい言葉だな。ぼくもどこか遠くへ旅をしてみたくなりました。」
「旅といえば,モンタ博士は,この冬休みに『沖縄』に行ったんですね。」
「そうだよ。とってもよかったね。それで,国立七小の子供たちへのおみやげとして,いろいろなサンゴやきれいな貝を拾ってきたから,みんなにあげよう!」