2.植物の世界
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(367)オナモミで遊ぼう!
「花ちゃん! ひっつきむしだよ。校庭で見つけたんだ。あちこちにあるよ。」
「ひっつきむしといっても,虫ではなく植物ですね。」
「このひっつきむし・・・何っていったかな。」
「これは,オナモミというのよ。」(正しくはオオオナモミという種です。)
「ピンポーン。そのとおりさ。オナモミで遊んだことはあっても,正しい名前まで知っているとは,さすが,植物博士の花ちゃんだね。」
「このオナモミはとてもよくくっつくね。花ちゃんに向けて,えい! ポイッと・・・。」
「やったわね。私も負けずに,えい! ポイッと・・・。」
「まままあ,遊ぶのも楽しいけど,オナモミをじいっと観察してみようよ。」
「じいっと・・・観察ですか・・・。」
「じいっと・・・観察すると・・・。あれ,さきが少し・・・ちょっとまがっているわ。これで,くっつくのね。」
「そうだね。むかしむかし,スイスという国の発明家で,マエストラルさんという人も,このオナモミの実を虫メガネでじいっと観察していたんだ。」
「それで,どうしたのですか。」
「それで,とげがカギのようにまがっていて,服にからまりつくオナモミから,あるものを発明したんだよ。」
「あるもの・・・? あるものって何ですか。」
「みんなも知ってるだろう。見たことあるだろう。マジックテープさ。」
「へえー,マエストラルさんってすごいね。いや,オナモミがすごいのかな。」
オナモミのつぶやき
やあ,みなさんこんにちは,おいらはオナモミさ。正しくはオオオナモミという帰化植物なのさ。今ではオナモミそのものはあまり見られなくなったそうだ。ところで,草花遊びというと,女の子に人気があるようだけど,おいらは男の子にも人気があるぜ。実を投げっこするのもいいけどさ,そっと,だれかの背中につけちゃう,なんていういたずらもけっこうおもしろいね。服にはついても,手にはつかない触感がまたいいだろう。ラグビーボールのようで投げやすいのも人気の秘密かもしれないなあ。また,音もなくくっつくのもいいだろう。くっつけたり,はずしたりと,離脱が簡単なのもいいだろう。それに,何度も何度も再利用できるのもおいらの人気の秘密かもしれないなあ。この頃じゃ,おいらを真似ておもちゃまで作るっていうんだから,人気者はつらいよね。それにしてもマエストラルのおじさんには感謝だね。あんたのおかげでおいらは,大ブレイクさせてもらって,本当に本当にありがとうございました。ところで,マジックテープという名前だけど,これはある会社の商標名であり,正しくは面ファスナーと呼ばなくてはいけないそうなんだけど,まあ,一般名詞化されているからまあいいんじゃないかな。面倒なお話はこのくらいにして,おうちのみなさんも,おいらを見つけたら子供の頃に戻って,お子さんと一緒に楽しく遊んでおくれよ!